「昔植えた生垣が大きくなりすぎて、看板まで見えなくなってしまった…」
そんなお悩みから、今回のご依頼はスタートしました。場所は東京都府中市にある施設のエントランス。20年ほど前から植えられていたドウダンツツジの生垣を抜根し、管理がラクで見た目も美しい植栽へとつくり替えました。
今回は、チェーンブロックを使った抜根の方法から、防草シート・石・砂利を組み合わせた仕上げ、乾燥に強いおすすめの植物まで、すぐ真似できるローメンテ植栽の全工程をプロが解説します。
今回の施工について

場所は東京都府中市にある、子ども支援を行っている施設。
そのエントランス、いわば施設の「お顔」となる部分の植栽をつくり替えるご依頼です。
ここには20年ほど前からドウダンツツジの生垣が植えられていました。
長年のうちにすっかり大きくなり、施設の看板が見えなくなるほどに育っていました。
コンクリートの壁から先はレッドロビンの生垣が続いているため、今回はエントランス部分のドウダンツツジのみを抜根し、新しい植栽へと植え替えます。
植栽のテーマは「育み」
今回植栽を担当したのは、ぐりんぐりんの女性スタッフ・口山(くちやま)。
子ども支援の施設ということもあり、「育み」をテーマに植物を選びました。
STEP 1|チェーンブロックで抜根する

まずは長年植わっていたドウダンツツジを抜根していきます。
今回抜いた本数は、なんと20本以上。かなり大変な作業です。
① 枝を落とす
いきなり根っこを抜くのではなく、まずは枝を落として作業しやすくします。
細い枝は剪定バサミでパチパチ切っていけますが、直径4〜5cmほどの太い枝になるとハサミでは切りづらくなります。
ノコギリで切る方法もありますが、太い枝がたくさんある場合は、ホームセンターでも手に入る枝切りバサミを使うとスムーズです。
② チェーンブロックで幹ごと引き上げる
枝を落としたら、残った太い幹をチェーンブロックで引っ張り上げます。
チェーンブロックは、いわば移動式の組み立てクレーンのようなもの。
単管パイプで三脚を組み、そこにチェーンブロックを吊るして、根っこごと樹木を引き抜いていきます。
抜根は「枝を落とす → 幹を引き上げる」の順番で。先に枝を落としておくと、作業スペースが確保でき、引き上げるときも安全です。
チェーンブロック抜根のメリットと注意点
メリット|少ない力で大きな木を抜ける
チェーンブロック最大のメリットは、少ない力で重いものを持ち上げられること。
チェーンブロックにはそれぞれ能力があり、今回使用したものは2tまで持ち上げられるタイプです。
一般的には1t程度のものが多く、ほかにも500kgや300kgのものがあります。
ただし、いくら能力が高くても、三脚と地面がその重さを支えられなければ意味がありません。
三脚が地面にめり込むこともあるので、地面の状態や単管パイプの強度も確認しながら作業しましょう。
注意点|地中の埋設物まで一緒に引き上げてしまう
チェーンブロックは根っこを丸ごと引き上げるため、根に絡んでいるものも一緒に持ち上げてしまうのがデメリットです。
作業前には、次のようなものが地中にないか、できるだけ確認しておきましょう。
- ✓ コンクリートブロックの壁や看板・ポールの基礎
- ✓ 地中を通っている電気のコード
- ✓ 水道管・排水管などの埋設物
- ✓ 三脚を広げられるスペースがあるか
今回は看板の近くにもドウダンツツジがあったため、看板ごと抜けてしまわないよう注意しながら作業しました。
幸い、看板やポールにはしっかりと基礎がつくられていて、思いきり引っ張ってもびくともしませんでした。地中に障害物もなく、効率よく抜根できました。
ご家庭では剣スコップでの抜根がおすすめ

チェーンブロックをお持ちのご家庭は少なく、レンタルもあまり見かけません。
ご自宅で抜根する場合は、先のとがった剣スコップで穴を掘るように抜く方法がおすすめです。
私たちも、埋設物が確認できない場所や三脚を広げられない場所では、剣スコップで抜根しています。
剣スコップを使った抜根のやり方は、別の動画で詳しくご紹介しています。
STEP 2|防草シートを敷いて植物を植える

抜根後の土の状態
抜根後は、地中のゴミをきれいに取り除いて整地します。
心配していた地面ですが、もともとの土はしっかりとした豊かな黒土。ミミズもちらほら見かけるほど、良い状態でした。
施設や公共の場所は、つくった当時のままの植栽が多く、根っこがはびこって地面が硬くなっていることもよくあります。
土が良いか悪いかは、抜いてみないと分からないものです。
防草シートを「先に」敷くのがポイント

今回は、先に防草シートを敷いてから、シートを切り抜いて植物を植える手順で進めました。
こうすることで、植物の株元以外はすべてシートで覆われ、雑草を抑えることができます。
どんな防草シートがおすすめかは、別の動画で詳しくご紹介しています。
仕上げの順番は「防草シート → 切り抜いて植える → 大きな石 → 砂利」。植えてからシートを敷くより、株元まできれいに覆えます。
STEP 3|石と砂利で仕上げる

植え付けが終わったら、大きな石をゴロゴロと配置し、最後に砂利を敷いて仕上げます。
砂利と石の間から植物がぴょこぴょこ顔を出すような、ナチュラルな雰囲気の完成です。
砂利の厚さと必要な量の目安
砂利は、防草シートまで太陽の光が届かないように4〜5cmの厚さで敷くのが目安です。
- ✓ 厚さ約5cmなら、1㎡あたり約80kg
- ✓ 厚さ3〜4cmなら、1㎡あたり約60kg
ホームセンターでは10kg・18kg・20kgなどの袋で売られていることが多いので、敷く面積から必要な袋数を計算しておくと安心です。
乾燥に強いローメンテ植物6選
ここからは、今回植えた植物を解説とともにご紹介します。
どれも乾燥に強く、手間がかかりにくい植物ばかりです。
使用した植物の早見表
| 植物名 | 特徴 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| サルビア・アズレア | 真夏の乾燥・蒸れに強い | 水が少なくてもめげずに育つ |
| アリステア・エクロニー | 1年中緑の葉、初夏に開花 | 冬も葉がきれいなまま |
| ユーフォルビア | 春に黄色の花 | こぼれ種で自然に世代交代 |
| カリロファス | 真夏にも黄色の花 | 花が勝手に落ちるので花がら摘み不要 |
| マウンテンミント | 乾燥・日陰どちらにも強い | 年1回ばっさり切るだけ |
| ミューレンベルギア | ピンクのふわふわした穂 | 3〜4月に株元5cmを残してカット |
サルビア・アズレア

乾燥◎|蒸れ◎|真夏も元気
玄関門からすぐの場所に植えたサルビアです。
乾燥に強く、真夏の水が足りない時期や蒸し暑い時期にもめげずに成長してくれるおすすめの植物です。
アリステア・エクロニー

常緑|初夏に開花|冬も葉がきれい
グラスのような細い葉が特徴のアフリカ原産の植物で、初夏に花を咲かせます。
冬は枯れてしまうかと思いきや、ぐりんぐりんの事務所で試してみると1年中緑のまま。葉もシャキッとしていて、見た目もきれいなまま元気に育っています。
ユーフォルビア

乾燥◎|春に開花|こぼれ種で増える
乾燥にとても強く、春に黄色の花を咲かせます。
花のあとに種が落ちて新しい芽が出てくるので、一度植えると勝手に世代交代してくれるたくましい植物です。長く楽しめるのも魅力です。
カリロファス’サニーチャープ’

乾燥◎|真夏に開花|花がら摘み不要
真夏にも黄色の花を咲かせる植物です。
咲き終わった花が勝手に落ちてくれるので、花がら摘みの手間がかからないのが面白いところ。
冬も元気で、とても乾燥に強いのが特徴です。ぜひ取り入れてみてください。
マウンテンミント

乾燥◎|日陰◎|年1回カット
今回初めて取り入れた植物です。
乾燥した場所から日陰まで、さまざまな環境でたくましく育つため、多くのガーデナーさんが使っています。
「ミント」と聞くと、地植えすると大繁殖するイメージがありますが、マウンテンミントはそこまで繁殖力が強くありません。
管理も1年に1回ばっさり切るだけでOKです。
ミューレンベルギア

蒸れ◎|寒さはやや苦手|3〜4月に年1回カット
ピンクのふわふわとした穂が出てくる、やわらかな印象のグラスです。
夏の蒸れに強く、寒さには少し弱い性質があります。
冬は穂を出した状態のまま残しておき、3月〜4月ごろに株元を5cmほど残してばっさり切るだけ。また同じようにきれいな穂が出てきます。
どこで切ればいいか迷いがちなグラスですが、年1回切るだけなのでご家庭でも扱いやすい植物です。
植栽後の管理|年2回の切り戻しでOK
施設の植栽は、多様な植物を植えることもできますが、管理のことを考えると今回くらいの種類数のほうが統一感も出ます。
しっかりきれいに保ちたい場合の管理は、3月ごろと11月ごろの年2回が目安です。
このタイミングでまとめて切り戻せば、それぞれの植物の手入れが同じ時期に済むように選んでいます。
植物は生き物です。どんどん成長し、時期によって花を咲かせたり、枯れたり、また新しい芽を出したり。その移ろいこそが植栽の楽しさです。
だからこそ管理はつきもの。ぐりんぐりんでは、お客様がその後どのように植物と付き合っていくのかまで考えて、管理のしやすさと見た目の美しさをトータルで考えた植物選びを行っています。
ローメンテ植栽について、よくあるご質問
チェーンブロックがなくても抜根できますか?
できます。ご家庭では、先のとがった剣スコップで根の周りを掘りながら抜く方法がおすすめです。
私たちも、地中の埋設物が確認できない場所や三脚を広げられない場所では剣スコップで抜根しています。
砂利はどのくらいの量を用意すればいいですか?
厚さ5cmで敷く場合は1㎡あたり約80kg、3〜4cmなら約60kgが目安です。
防草シートに日光が届かないよう、4〜5cmほどの厚さで敷くのがおすすめです。
マウンテンミントは地植えしても増えすぎませんか?
一般的なミントほど繁殖力は強くないので、地植えでも扱いやすい植物です。
管理も1年に1回ばっさり切るだけで大丈夫です。
まとめ

20年ほど前から植えられていたドウダンツツジの生垣を抜根し、施設のエントランスを明るい植栽へとつくり替えました。
防草シートで雑草を抑え、乾燥に強い植物を選び、管理は年2回。
手をかけにくい施設のお庭でも、見た目の美しさとラクな管理を両立できます。
個人のお庭でも、忙しくてなかなか手入れが行き届かないという方は多いはず。
植え替えや管理がラクな植栽をお考えの方は、ぜひ今回の方法を参考にしてみてください 🌿
ローメンテ植栽のポイント
- ✓ 抜根は枝を落としてから幹を引き上げる
- ✓ チェーンブロックは地中の埋設物と三脚のスペースを必ず確認
- ✓ ご家庭での抜根は剣スコップがおすすめ
- ✓ 防草シートを先に敷き、切り抜いて植える
- ✓ 砂利は4〜5cm(5cmなら1㎡あたり約80kg)
- ✓ 乾燥に強い植物を選び、種類は絞って統一感を出す
- ✓ 管理は3月ごろと11月ごろの年2回でOK


