「庭の木を移動させたいけど、業者に頼むと高そう」「ホームセンターで買った木を植え替えたい」そんな悩みはありませんか?
実は、1m程度の木であれば、スコップの向きさえ間違えなければ自分で移植できます。
特に、移植時のスコップの向きを間違えると、根鉢が崩れて木が枯れる原因になります。
この記事では、プロが実践する樹木の移植方法を解説します。
スコップの正しい向き、移植できる時期、根鉢の作り方、植え付けのコツが分かります。
DIYで移植できる木のサイズ

1m程度の木なら誰でも移植できる
高さ1m程度の木であれば、正しい方法を知っていれば誰でも移植できます。
大きい木の移植は時期や技術が必要で難易度が高いですが、1m程度の木なら比較的簡単です。
ホームセンターや園芸店で購入した木を自分で植える方は多いため、その経験があれば移植も可能です。
根鉢のサイズをイメージする
移植とは、根っこを土と一緒に掘り取って、新しい場所に植えることです。
ホームセンターで購入した時の姿を思い出してください。
あの根鉢(根っこの塊)の状態で掘り出せば、新しい場所に植えられます。
豆知識:根鉢のサイズの目安
高さ2.5mのサルスベリ → 直径50cm、高さ30cm
高さ1mの梅の木 → 直径20〜30cm、高さ15〜20cm
手を広げた時の親指と小指の間が約23cmなので、これを2回で約50cmです。
この測り方を覚えておくと便利です。
移植できる時期|落葉樹と常緑樹の違い
移植の時期は樹種によって異なります。
以下の表を参考にしてください。
| 樹木の種類 | 移植に適した時期 | 代表的な樹種 |
|---|---|---|
| 落葉樹 | 冬(葉が落ちた時期) | 梅、サルスベリ、桜、モミジなど |
| 常緑樹 | 春・秋(温かい時期) | オリーブ、シマトネリコ、ソヨゴなど |
| 真夏 | すべて避ける | 気温が高すぎて枯れるリスク大 |
落葉樹は冬に移植する
梅の木やサルスベリなどの落葉樹は、葉っぱが全部落ちた冬の寒い時期に移植します。
冬は樹木が休眠期に入っており、水の吸い上げが少ない状態です。
春になると目覚め、切られた根を補うように新しい根を張り出します。
葉っぱがついている春・夏・秋に移動させると、葉からの蒸散が激しく枯れるリスクが高まります。特に真夏の移植は絶対に避けてください。
常緑樹は春・秋を中心に移植する
オリーブやシマトネリコなど、1年中葉っぱがついている常緑樹は、冬の時期に移動すると枯れるリスクが非常に高くなります。
常緑樹は、春・夏・秋の真夏を避けた温かい時期に移植してください。
移植に必要な道具

基本の道具
移植に必要な道具は以下の通りです:
- 剣スコ(大きいスコップ):先端が尖っている大きいスコップ
- 小さいスコップ:女性でも使いやすいサイズ
- 小さい移植ゴテ:細かい作業用
- 剪定バサミ:枝や根っこを切る
- 枝切りバサミ:太い枝を切る
- 紐やゴム紐:枝を束ねる(ダンボールを束ねる紐でOK)
移植の手順|引っ越し先を確保する
先に植える場所を確保する

いきなり木を掘り取るのではなく、まず引っ越し先を確保します。
植える場所に他の木がある場合は、その木も移植してスペースを作ります。
引っ越し先を確保してから、移植する木を掘り取ります。
枝を剪定してコンパクトにする
掘り取る前に、枝を剪定します。
枯れ枝は邪魔になるため、全部綺麗に掃除しましょう。
周りが綺麗だと、どこを掘ればいいのかが分かりやすくなります。
移植時に枝数を減らす理由
移植では根を切るため、一時的に水や栄養を吸えなくなります。
上部に葉っぱが多くついていると、根っこから水が吸えないのに葉からどんどん水が蒸散します。
また、花芽がついていると栄養を大量に使うため、根っこを切った状態では枯れてしまいます。
そのため、移植時は枝数を減らす必要があります。
高すぎたら高さを落とし、広がりすぎていたら根元付近から枝を切って少なくします。
紐で枝を束ねる

剪定した後、紐やゴム紐で枝を束ねてください。
枝がコンパクトになると地面が見えて、スコップを入れやすくなります。
スコップの正しい向き|移植の最重要ポイント
スコップの向きは3種類ある
移植を成功させる最大のポイントは、スコップの向きです。
スコップの向きには、抜根用・移植用・削り用の3種類があります。
移植の時は、普通の掘り方とは違う向きで使います。
抜根の時のスコップの向き
木を抜く時、多くの人は直感的にスコップを入れたくなりますが、その向きでは掘れません。

幹から放射状に根っこが通っているため、根っこの上を刺すことになるからです。
抜根の時は、スコップを90度回転させて、根っこを切りながら掘ります。

移植の時のスコップの向き|裏側を向ける

移植の時は、スコップの裏側を向けた状態で使います。
スコップの裏側を向けて使う理由
深く掘れる:ほぼ真下にまっすぐ入るため、20cm以上深く掘れます
根鉢を崩さない:外側を掘るため、根鉢の土が崩れません
細かい根を切れる:差し込みながら根を切るため、効率的です
理由は、移植では根っこと周りの土を残したいからです。
幹のギリギリを深く掘る必要があります。
抜根の向きで掘ると、すぐ上がってきて浅くなり、深く掘れません。
スコップの裏側を向けた状態で差し込むと、ほぼ真下にまっすぐ入っていきます。
細かい根を切断しながら、土中へ深く差し込めるのが利点です。
十分な距離を取って裏側に差し込み、これを外周にぐるっと1周させます。
根鉢の作り方|土を残したまま掘る

根鉢のイメージ
移植では、根っこを土と一緒にコンパクトにまとめて掘り取ります。
土がしっかりついた状態で掘ることが重要です。
例えば、高さ2.5mのサルスベリの根鉢は、直径50cm、高さ30cm程度です。
この形を目指して掘っていきます。
外側を掘る|根鉢は触らない
掘るのは根鉢ではなく、周りです。
スコップを裏側にして外側を取っていきます。
差し込んだ位置はそのまま変えません。
外側を掘っていきます。
初めからスコップ1つ分ぐらいの幅を取ると良いです。
掘るのは周り、根鉢は絶対に触らない!
根っこは剪定バサミで切る

細かい根っこがある場合、スコップで叩くと周りの土が崩れてしまいます。
根鉢を崩さないため、根っこは剪定バサミで土面ギリギリで切ります。
剪定バサミで根っこを切っても大丈夫ですが、石は絶対に切らないでください。
石を切ると刃が欠けたり、切れ味が悪くなります。
根鉢を小さくしていく
根鉢の土は重いため、できる限り根鉢を小さくします。
スコップを使って優しく触っていくと、不要な土が落ちて、根鉢の本当の大きさが見えてきます。
周りは最初ちょっと遠目からスタートして、少しずつ削って理想の大きさに近づけましょう。
理想の大きさとは
根っこは幹に近づくほど太くなっていきます。
削りたくないなというところまで小さくしてください。
太い根っこが出てきたら、やめましょう。
持てる大きさであれば、その大きさの根鉢で十分です。
掘り取りの実践|雪柳と梅の移植
下場を丸く削る

外周を掘った後、下場(根鉢の下の方)を丸く削っていきます。
根っこが見えなくなる境目あたりを、スコップを内側に向けて、幹の中心に向かって丸く掘っていきます。
全体がみかんのような形になります。
根っこがあればコツンと当たるため、それ以上は入りません。
その感触を確かめながら、少しずつ内側に進めます。
ぐるっと全方向からつつく
ぐるっと全方向から、内側に内側に切れ込みを入れていきます。
この辺は崩れやすいため、気をつけながら作業してください。
つついていると、ボロっと地面から離れることがあります。
それが理想です。
最後の根っこを切る
ちょっと持ち上げてみて、まだ根っこが下でくっついているようであれば、その根っこを切ります。
剪定バサミを突っ込んでもいいですし、スコップでつついてもいいです。
ある時突然、ボロっと掘り取ることができます。
最後が1番大変
真ん中で真下に向かっている根っこがあると、なかなか取れません。
揺らしている間に周りの土がポロポロ取れてしまうため、注意してください。
根鉢の根っこがあるところから外側を、できるだけ広く掘ると下の方が見えやすくなります。
梅の木の移植|根鉢が小さい場合

梅の木も同じように掘っていきます。
どこを掘ればいいのか、どれぐらいの大きさにすればいいのかは、木によって違います。
基本的には、手を広げた時の親指と小指の間が約23cmあるため、これを2回で約50cmです。
このぐらいの距離でまずはスコップを入れてください。
根っこが当たったら遠くに、根っこが全くなかったら内側で掘ってください。
今回の梅の木は、短期間に2〜3回移植しているため、根っこが育っていません。
そのため根鉢が小さくなります。
ただしこれ以上小さくすると根がなくなってしまいますし、植えた時に周りの土がしっかりしていないと倒れてしまうため、最低でも半径7〜10cmぐらいは残します。
植え付けの方法|水やりと土の固め方

すぐに植える
根っこは基本的にずっと濡れている状態です。乾くと枯れてしまいます。
剥き出しになっていると乾きやすいため、なるべく早く植えてください。
位置を確認しながら、育った時のサイズや樹形をイメージして場所を決めます。
向きを考えて植える
どの向きに植えるのかも考えてください。
基本的には手前側から見て、見た目が良ければOKです。
枝が広がっている方向が正面です。
しっかり広がっている方向を見た方が、樹木は綺麗に見えます。
横を向いてしまったり、背中を向く植え方だと、花が見えなかったり寂しくなります。
幅が広い方、枝が前に向かっている向きを考えて植えてください。
水やりと土の固め方

根っこを切っているため、自分で水を吸い上げることができません。しっかりと水をあげてください。
水をあげて土をしっかり固める意味もあります。
水で土を引き締めるため、しっかり最初に水をあげておいてください。
支柱は必要か
今回の梅の木ぐらい(1m程度)であれば、支柱は不要です。
幹だけで葉っぱがついていないため、風の影響も受けにくいです。
土もしっかり踏み固めておけば倒れることもありません。
倒れなければ、グラグラしなければ、そのまま春を迎えて大丈夫です。
支柱をつける意味は、倒れるのを防ぐことですが、樹木がずっと風で揺れたりすると根っこが定着しにくくなります。
根っこが出にくいのです。
しっかり立って動かない方が根っこが出やすいため、その点を考慮して支柱をつけるか判断してください。
移植後の水やり
落葉樹のため、これ以降は基本的に水やりは不要です。
このまま春を迎えて、根っこが育てば自分で水を吸えるようになります。
まとめ:スコップの向きで成功率が変わる
樹木の移植は、スコップの向きさえ間違えなければ、1m程度の木なら誰でもできます。
特に、移植時はスコップの裏側を向けて使うことで、深く掘れて根鉢を崩さずに済みます。
樹木の移植|重要ポイント
- ✓ スコップの裏側を向けて使う(深く掘れる)
- ✓ 落葉樹は冬、常緑樹は春夏秋に移植する
- ✓ 根鉢を崩さないように丁寧に掘る(外側を掘る)
- ✓ 根っこは剪定バサミで切る(スコップで叩かない)
- ✓ 枝を束ねて作業しやすくする
- ✓ 植え付け後はたっぷり水をあげる
ホームセンターで買った木や、庭の木を移動させたい時は、ぜひこの方法を試してみてください。
スコップの向きを間違えなければ、DIYでも十分に移植できます。
木を大切に育てる庭づくり

今回の樹木の移植のように、1本1本の木を大切にしながら、暮らしに寄り添う庭を作ることが大切です。
ぐりんぐりんは、東京都・NHKが主催する「東京パークガーデンアワード」に参加しています。このコンテストは、宿根草をメインにした庭づくりを競うもので、結果は2026年11月に発表される予定です。
季節ごとの植物管理や、庭づくりのコツについては、東京パークガーデン公式サイトやガーデンストーリーにて月1〜2回のペースで記事が公開されています。
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