「お庭って、ただ花を育てるだけじゃないのかもしれない。」
東京都・NHK主催の「東京パークガーデンアワード」に出場中のぐりんぐりん横田が、夢の島公園の庭で語ったコンセプトがあります。それが「シチュワードシップガーデン」。愛を持って自然に関わる、人生と重なる庭づくりの考え方です。
今回は、2026年5月の夢の島レポートをもとに、庭のテーマとコンセプト、そして春の球根が終わりを迎える5月の管理についてご紹介します。
東京パークガーデンアワードとは

東京パークガーデンアワードは、東京都・NHK主催の宿根草をメインにした庭づくりコンテストです。
5日間で制作した後、1年間かけて植物を育て、4月・7月・11月の3回の審査を経て、2026年11月にグランプリが決まります。
ぐりんぐりん横田は今回、東京の夢の島公園を会場に出場。毎月の管理の様子をYouTubeとホームページで記録・公開しています。
夢の島公園という場所について

夢の島公園は、かつて東京中のゴミが集まるゴミの埋め立て地でした。自然に火がつき、燃え続けていたこともあったそうです。
1978年、48年前に公園として整備され、今のような緑豊かな場所になりました。公園内の大きな木々も、その頃から育ち続けているものです。
横田はこう語ります。「庭師が2時間あれば木を倒せる。でも、それを取り戻すには48年かかる。」その言葉が、このお庭のテーマに深く関わっています。
シチュワードシップガーデンとは

今回のお庭のテーマは「シチュワードシップガーデン」。少し聞き慣れない言葉ですが、実はとても身近なところに由来があります。
「スチュワーデス」という言葉をご存知でしょうか。飛行機の中でいつも笑顔でお水を持ってきてくれる客室乗務員のこと。そこから来た言葉が「シチュワードシップ」、つまり愛を持って積極的に関わることを意味します。
お庭に置き換えると、植物や自然に対して愛を持って関わり続けること。ゴミの埋め立て地だったこの場所が、人の手と愛によって48年かけて美しい公園になったように、庭も人も、愛のある関わりによって豊かになっていくという考え方です。
庭のゾーン構成|砂浜・くるみの殻・成熟の大地

このお庭は、人の一生をテーマに3つのゾーンで構成されています。
①砂浜ゾーン|子供時代

庭の端は、公園に隣接する海をイメージした砂のゾーン。植物があまり育たない環境ですが、そこに植えられているのがサポナリアという植物です。

砂浜でも根を張り、白い花を咲かせる力強さが、子供時代の純粋さと重なります。
②くるみの殻ゾーン|親世代・実りの時期

くるみの殻をグランドカバーに使ったゾーンは「実りの象徴」。子を持ち、愛を誰かに捧げるようになる親世代を表しています。

ハーブや果実など、実りある植物が育つ豊かな土地です。
③中央の成熟ゾーン|人生の円熟期

庭の中央は、最も土が豊かで背の高い植物が育つエリア。アリウム’レッドモヒカン’やフリチラリア ペルシカなど、存在感のある植物が空に向かって伸びます。

子供が巣立ち、自分のために生きる成熟した世代を表しています。
5月の球根たち|春の終わり方
5月の夢の島では、春の球根たちがそれぞれの終わりを迎えていました。
フリチラリア・オレンジビューティ

春の見頃を終え、花茎が切られた状態。存在感のある植物だからこそ、その「終わり」も庭の一部として美しく見えます。球根に栄養を戻すため、葉が青いうちに肥料を与えることが大切です。葉が黄色くなってからでは球根に栄養が届かないため、タイミングがとても重要です。
アリウム’レッドモヒカン’

成熟ゾーンの主役として背高くそびえる球根。5月の今もまだ存在感を放っています。花が終わったら、同じく葉が元気なうちに花後のケアを行いましょう。フリチラリアと同様に、球根をしっかり太らせることが翌年の開花につながります。
ラナンキュラスラックス’ミネルバ’

3月上旬から咲き始め、なんと3回切り戻してもまだ咲き続けているという驚きの生命力。球根植物の新しい発見として、横田も注目しています。

北欧の庭づくりと「本来の自分」

ぐりんぐりんは「北欧の庭づくり」をテーマに活動しています。北欧では冬が長く外に出られない分、庭や自然の大切さを皆が知っています。公園や個人の庭を誰でも自由に通れる法律があるほど、自然と人が近い国です。
日本は自然が豊かな国です。でも、その豊かさが「当たり前」になってしまっている部分もあるかもしれません。横田がこのお庭を通じて伝えたいのは、シンプルなメッセージです。
「本来の自分を取り戻してください。」
人生で一番後悔することの第1位は、「本当にやりたかったことをやらなかったこと」。お庭と向き合う時間が、その気づきのきっかけになれば嬉しいです。
5月のメンテナンス|春の終わりと夏への準備
イベント終了後、5月のメンテナンスを行いました。気温27℃。今年の夏も暑くなりそうな陽気の中での作業です。
横田の庭では春の球根がほとんど咲き終わり、球根から夏の球根・宿根草・グラスへと移り変わる時期を迎えています。
作業の流れ
① 落ち葉拾いと掃除
② 花柄摘みと切り戻し
ラナンキュラス・ラックス・アリアドネ

最後まで花壇を華やかに彩ってくれた立役者。花茎を根元からカットします。葉っぱは夏になると自然になくなるため、それまでの間は葉を残してエネルギーを補充させます。来年の開花のための大切な準備です。
カマシア・ライヒトリニー・アルバ

5月4日のイベントでちょうど満開を迎え、潮風にも負けずたくさんの花を咲かせてくれました。
通常は花茎だけを根元からカットしますが、今回は周囲の植物への日陰の影響を考慮し、早めに葉ごとカットする予定にしています。
アリウム’レッドモヒカン’

春の後半、この花壇のメインを飾った存在感抜群の球根。多くの来場者を驚かせた太い花茎をカットします。
5月の見どころ|次の主役たち
春は終わりましたが、初夏を彩る宿根草や球根たちが、すでに花芽を広げはじめています。
ベロニカ’フェアリーテイル’

この時期のメイン。イベント中も華やかに存在感を放ち、その場でご購入を決めた方もいらっしゃったほどの人気ぶりです。
トリトマ’オレンジバニラホプシクル’

夢の島にふさわしい、熱帯を感じさせる姿がとても夏らしい宿根草。これからの季節にぴったりです。
これから存在感を増すグラスたち
セダム・マトロナ、ペンステモン’ハスカーレッド’、アリウム’レッドモヒカン’に加え、グラスたちも穂を立てて存在感を増してきています。

セダム・マトロナは肉厚な葉が重なり合い、初夏に向けてぐっと存在感を増しています。

ペンステモン’ハスカーレッド’は銅葉が美しく、これから細い花茎を伸ばして咲きはじめます。

アリウム’レッドモヒカン’はまだ背高く花を保ちながら、徐々に次のフェーズへと移っていきます。

カラマグロスティス’カールフォースター’は穂が立ち上がり、風に揺れる姿がこれからの庭に動きをつくります。

ディスカンプシア・パラバも細い葉の間から穂を出しはじめ、グラスならではの繊細な美しさを見せています。
晩秋まで審査が続くこのコンテスト。次回の審査ウィークは7月8日〜15日です。1週間で主役が変わるほど、新しい発見が続く時期になっていきます。ぜひ夢の島公園に足を運んでみてください。

まとめ

東京パークガーデンアワード夢の島の庭は、単なる植栽の展示ではありません。ゴミの埋め立て地から48年かけて生まれた公園で、人の一生と自然の営みを重ねた、深いメッセージを持つ庭です。
5月は春の球根が終わりを迎え、夏へと移り変わる季節。フリチラリアやアリウムが花を終え、ラナンキュラスラックスがまだ力強く咲き続けているこの時期にも、お庭には発見と感動があります。
次回の審査は7月。どんな庭の表情を見せてくれるか、引き続き記録していきます 🌿
シチュワードシップガーデンのポイント
- ✓ 愛を持って積極的に自然に関わることがテーマ
- ✓ 庭は砂浜・くるみの殻・成熟の大地の3ゾーン構成
- ✓ 球根の花後は葉が青いうちに肥料を与える
- ✓ ラナンキュラスラックスは切り戻しで長く楽しめる
- ✓ 次回審査ウィークは2026年7月8日〜15日

コンテストについて
東京パークガーデンアワードは、東京都・NHK主催の宿根草をメインにした庭づくりコンテストです。5日間で制作した後、1年間かけて植物を育て、4月・7月・11月の3回の審査を経て2026年11月にグランプリが決まります。
コンテストの詳細は、東京パークガーデン公式サイトやガーデンストーリーでもご覧いただけます。
ぐりんぐりんのYouTubeチャンネルでも毎月の管理レポートをお届けしています。

