「市販の堆肥は本当に良いものなのか分からない」「自分で納得できる堆肥を作りたい」そんな思いはありませんか?
実は、庭で植物を長く育てていくには、外部の肥料に頼らない「自然循環」の仕組みが欠かせません。
そのために最も大切なのが、質の良い堆肥づくりです。
この記事では、長野県の白樺林で採取した落ち葉を使い、100%長野産の材料で堆肥を作る方法を解説します。
ワインの搾りかす、米ぬか、もみ殻——地域の資源を活かした、完熟まで6ヶ月の本格的な堆肥づくりが分かります。
なぜ自作の堆肥を作るのか

庭は小さな自然
庭づくりで植物を植えていく際、半永久的に人の手を返さず、市販の資材や肥料を入れなくても自然の中で循環していく環境を作ることが理想です。
庭は小さな自然だと考えています。
その循環を庭の中で再現したいと思い、土づくりを勉強してきました。
自立した植物と土の関係
自立した植物と土との関係、微生物との循環を庭で作り出すためには、充実した土を最初の庭づくりの段階で作っておく必要があります。
それに必要なのが堆肥であり、腐葉土です。
市販の堆肥への疑問
市販の腐葉土や堆肥もあります。
もちろん簡単に手に入り、手頃な価格で購入できますが、色々調べていくうちに、それが本当に良いのかどうか不明瞭なところもあります。
そのため、自分なりに研究して、納得する腐葉土や堆肥を実験的に作ってみることにしました。
100%長野産の5つの材料
今回は、長野県で採れる資材を使って、100%長野産の白樺堆肥を作ります。
地域の資源を活かし、協力いただいた方々とともに、納得できる堆肥づくりに挑戦します。
①白樺の落ち葉(メイン材料・50%)

今回のメインは、長野県の白樺林で採取した落ち葉です。
11月中旬、豊富に落ちている白樺の落ち葉を100%使用します。
他の枝などもできるだけ取り除きましたが、自然のものなので多少混ざっているのは普通です。
この白樺堆肥は、完熟するまで約6ヶ月かけて発酵させます。
最終的には匂いもなくなり、サラサラの手触りになる予定です。
②ワインの搾りかす

長野県といえばワインが有名です。
マンズワイン小諸ワイナリーさんから、赤ワインの搾りかすを分けていただきました。
マンズワインは、JALやANAのファーストクラスで提供されるワインを造っている有名なワイナリーです。
昨日搾ったばかりの搾りかすをいただき、最初は匂いがきつかったですが、他の材料と混ぜることで緩和されました。
完熟まで持っていけば、サラサラの状態で匂いもなくなり、良い堆肥になります。
③米ぬか+もみ殻(30%)

長野県は米どころとしても有名です。
長野の農家さんから、定番の米ぬかともみ殻を分けていただきました。
米ぬかは堆肥づくりに欠かせない材料で、今回は約300Lを使用しています。
もみ殻は土をフカフカにする役割があり、全体の30%程度を配合しました。
④牛糞堆肥

近所の長戸牧場さんから、牛糞堆肥を特別に分けていただきました。
以前は一般向けにも配っていたそうですが、現在はご自身の牧場で使用しているため、一般配布はしていません。
この牛糞堆肥は仕込みから3ヶ月ほど経った状態で、匂いはほとんど感じられません。
形も単粒状にまとまり、扱いやすい状態になっています。
来年の春頃には完熟し、サラサラで匂いのない堆肥になる見込みです。
健康な牛を育て、良質な牛乳や牛肉を提供したいという思いが、この堆肥づくりにも込められています。
今回は実験的に、牛糞堆肥を入れるパターンと入れないパターンの2種類を作り、違いを比較します。
白樺林との協力関係

信州白樺クラフト制作所とは
今回の堆肥づくりは、信州白樺クラフト制作所さんのご協力を得て実現しました。
この団体は、白樺の間伐材を使って再利用し、その販売や2次生産の収益の一部を白樺林の保全に当てています。
ぐりんぐりんの事務所にも、実は白樺を使った内装があり、その白樺を分けていただいた時からの繋がりがあります。
今回、腐葉土づくりで落ち葉を使いたいとご相談したところ、快くご協力いただきました。
立科町役場の協力
堆肥を仕込む場所は、立科町役場の持ち物を信州白樺クラフト制作所さんが借りている場所の一角です。
立科町役場のご協力と許可を得て、今回の落ち葉採取と堆肥づくりを行っています。
堆肥づくりの配合と手順

配合比率
全体を10とすると、白樺の落ち葉が5、もみ殻が3、ワインの搾りかすが2です。
米ぬかは分量としてとても少ないため、トータルで10プラス米ぬかという配合になっています。
今回は、約300Lのバッグに約50kgの材料を詰め込みました。
牛糞堆肥を入れるパターンと入れないパターンの2種類を作り、経過を比較します。
混ぜ方のポイント
ワインの搾りかすは最初、匂いがきつく、水分を持っているため混ぜるのが大変です。
しかし、混ぜることで匂いが緩和され、水分が他の落ち葉やもみ殻に吸収されていくと、逆に軽くなっていきます。
とても良い分量で混ざっている状態です。
加水
材料を混ぜた後、水を加えます。
大体300Lで18L程度の水を入れますが、ワインの搾りかすの水分があるため、加える水を少なくして様子を見ながら調整します。
温度管理が成功の鍵

目標温度は60〜80℃
堆肥づくりで大切なのは、温度・空気・水分の3つです。
しっかり最低60℃まで発酵させ、できれば80℃まで上げるのが理想です。
スタートから24〜48時間ぐらいで温度が上がってくれることを期待しています。
寒さ対策
長野の冬は気温がマイナス20℃まで下がることもあるため、寒さ対策が重要です。
地面にコンパネを敷き、その上にバッグを乗せて、下からの水分を取らないようにします。
さらに、業務用の毛布を中に入れ、雨が入らないように厚めのシートをかけました。
太陽の光はそれほど必要ありませんが、堆肥の中に空気を入れることで温度が上がり、保持できます。
山の大きさも重要
今回の300Lのバッグは、正直言って少ない量です。
本当はギリギリのところで、これ以上小さくなると熱が出てもすぐに冷めてしまいます。
堆肥づくりは連続して熱を保持させることが重要で、理想は高さ2mぐらいの山を作ることです。
今回は土地や場所、資材が限られた中での実験として、このサイズで挑戦します。
天地返しと発酵期間
天地返しの頻度
熱が出て水分が飛んでなくなっていくため、天地返しをして中身を出し、また混ぜて入れ直しが必要です。
その時に水を加えることで、再び最低60℃以上、理想は80℃で熱を保持していきます。
天地返しの頻度は人によって異なり、毎日やる人もいれば週に1回でいいという人もいます。
今回は東京から長野に月1回しか来られないため、月に1回のペースで天地返しを行う予定です。
発酵期間と段階
高い温度が出るのは、大体2〜3ヶ月ぐらいです。
この時期が初期発酵で、しっかり発酵させることが重要です。
徐々に微生物が有機物を食べて中身が減っていくため、温度は下がっていきます。
最初の3ヶ月ぐらいが中熟の段階で、ここまで来ると天地返しはさほど必要ありません。
完熟まで半年、できるだけ維持していくことが目標です。
冬の管理
長野の冬は寒さが厳しく、外の気温がマイナス20℃になることもあります。
その中でこの温度を保持していくのは難しく、もしかしたら天地返しも不要かもしれません。
初めての土地での初めてのチャレンジなので、どうやっていくのかを確認しながら、この白樺堆肥を作っていきます。
また1ヶ月後、この地に帰ってきて天地返しを行い、どうなったのか経過を報告します。
まとめ:自然循環する庭づくりの土台
100%長野産の材料を使った白樺堆肥づくりに挑戦しました。
白樺の落ち葉、ワインの搾りかす、米ぬか、もみ殻、牛糞堆肥、すべて長野県の地域資源です。
堆肥づくりの重要ポイント
- ✓ 温度・空気・水分の3要素を管理する
- ✓ 目標温度は60〜80℃
- ✓ 配合比率は白樺5:もみ殻3:ワインの搾りかす2
- ✓ 月1回の天地返しで温度を維持
- ✓ 完熟まで約6ヶ月かけてじっくり発酵
庭は小さな自然です。
自然の循環を庭で再現するために、充実した土を最初の段階で作っておくことが重要です。
納得できる堆肥を自分で作ることで、外部の肥料に頼らない、長期的に植物が育つ環境を作ることができます。
この堆肥を使った実践の場

実は、こうした土づくりの考え方を実践する場として、東京パークガーデンアワードに参加しています。
このコンテストは東京都・NHK主催で、2026年11月に結果が発表される宿根草をメインとした庭づくりのコンテストです。
コンテストの様子や植物の成長記録は、東京パークガーデン公式サイトやガーデンストーリーにて記事が公開されています。
ぐりんぐりんのYouTubeチャンネルでも定期的に更新していきますので、ぜひチェックしてください。
今回は初めての土地での初めての挑戦ですが、地域の方々のご協力を得て実現しました。
信州白樺クラフト制作所、立科町役場、マンズワイン小諸ワイナリー、長戸牧場、そして長野の農家の皆さん、たくさんの方々に感謝します。
白樺堆肥の経過も、コンテストの様子も、今後継続的に報告していきます。
詳しい堆肥づくりの様子は動画でも確認できます。

