お客さまのご希望は子供たちの日よけでした
環境は南向き、直射日光が直接、家の中まで入り込むようです
ご近所の子供たちも集まって遊ぶ、そのためのご要望です
南向きのお庭は植物や畑まであって
とても素敵な環境です
しかし真夏の直射日光はとても厳しいものがあります
パーゴラとは?

そもそも日よけのための棚を
”パーゴラ”と呼んでいいのか?
『pergola』イタリア語からきており、そもそもの意味は”ブドウ棚”である。それが棚を示す言葉となり、今ではつる性の植物を這わせるもの、日陰棚、などの意味として使われている。
というコトは”日よけのためのパーゴラ”ってことでも
それはパーゴラなんですね!
と、またひとつ学ぶ日々です
お問合せ、ご希望!
お客様からご依頼をいただき
お庭を拝見したときには
すでにウッドデッキがあったのです
材木は最近出回っている、価格を抑えたハードウッド
”アンジェリーナ”という種類でした
建材として専用に加工されたメーカーの商品でした
このウッドデッキがつくられて
約2年が経った今、どんな状態なのか
合わせてご紹介したいと思います!
そこで新しい発見もありましたが
それは後ほど!
■ご希望の”日よけ”
南向きの住宅
目の前は小さな公園で、日差しを遮るものは無い
一年中部屋の中まで、強い日差しが入り込み環境
夏はそうだけど、冬は?
日光が当たることで温かいからいいんじゃないの?
そうですね、冬は直射日光が欲しい!
しかし!
今の時代の真夏は、とにかく痛いほど熱い!
光熱費もバカにならない!
子供たちがウッドデッキの上や
部屋で遊んでいても、とにかく暑くて困る!
そのため”遮光カーテン”や
”日差しを遮る屋根”が欲しい!
それがお客さんのご希望でした
打ち合わせ
初めてお庭を拝見したときに
色んなお話しも伺いました
まずはご家族構成、生活スタイル、ご希望、動線、環境
日当たり、風、湿度、視界、住宅状況、将来など
今回のウッドデッキをどのように使っているか?
それによりご提案も変わってきます
例えば、あまりウッドデッキを使ってない場合は
視界を狭くしても日差しを遮ることが優先!
またご近所の方々が集まったりして
ウッドデッキを部屋の延長として使っている場合
柱を増やしたくありませんし、広く使えるようにしたい
今回の場合は
”よりオープンに屋根を作る方が良い”となりました
色々な条件をあげていくことで
プランは自然に二つか三つに絞られていくのです
ご提案、プラン

実際にご提案に使用した、パーゴラのイメージ図です
こうやって視覚的に絵などで見ると
完成の姿が分かりやすいです
これに”シェードネット”という遮光ネットがつきます
シェードネットは通気性、透水性があり
ロープで引っ張って、開け閉めをするものと
直接フックで付けたり、取り外したり出来るものもあります
取り外しが出来るものの利点
軽く躯体に負担が無い、劣化しずらい
取り外せば広く使える積雪の心配がない
視覚的にも頭の上がスッキリする!など
ロープで稼働するもの
脚立に乗って作業しなくていい
楽で危険が無い年中いつでも使えるなど、とにかく便利!
三方向からの大きさ、寸法や形が分かる図面です
図面では大きさや広さが数字で把握できます
お客さんの身長の人物を登場させることで
よりイメージが豊かになるでしょう!
今回のポイントは
”植物を誘引するためのパーゴラではなく
日陰のためのパーゴラ”ってこと
デザインをシンプルにすることで
見た目よりも機能性を重要視しました
結果的にスッキリした、景観を邪魔しないカタチになりました
また既存のウッドデッキの支柱と
パーゴラの支柱を一体化させることで
最小限の支柱で視界を遮ることはありません
さらに2年目の新築住宅のため
まだ保証期間でもありますので
パーゴラを住宅から独立させています
契約、施工
皆さんのOKがいただけたら、ご契約を結びます
メリットもデメリットもお伝えします
お互いが気持ちよく約束するというコトです
さぁ作りましょう!
■1日目 解体と支柱
始めにウッドデッキの一部を解体
支柱周りの材を外します
今回の施工はウッドデッキとパーゴラの
支柱を一体化させることがポイントです!
建築から2年目のウッドデッキの裏側です
ハードウッドとして販売されている”アンジェリーナ”
床板の裏側を見る機会も珍しいかもしれませんね
薄っすらと白カビ黒カビ、雨水の染み込みがあります
腐食してるワケではありません
シミなど、表面が変化している状態です
しかし他のハードウッドと比べると染み込み始めが早いですね
イペ、ウリンなどのハードウッドは油分が十分にあります
油と水、つまり材木に水が入り込まないのです
イペは船に使われていたり
ウリンは橋や海辺デッキに使われていたりします
それでいて50年の耐久性があるのです、腐食し難いってことです
【イペを使った実例】

白く塗装されていますが
ハードウッドの王様のイペでプランターを作った例です
詳しくは⇒ぐりんぐりん施工日誌002『大田区の壁面プランター』新たな挑戦!
【ウリンを使った実例】

そしてウッドデッキなどでよく使われているウリン
詳しくは⇒室外機カバーをDIYで簡単に作る!ナチュラルガーデンの庭づくり!
ウッドデッキの柱はパーゴラの柱と
据替えしますので
柱を外して、デッキが倒れないようにしておきます
反対側も一部、解体をします
後でサイズを変えたり、加工して元に戻したりするので
丁寧な仕事をすることが重要です!
外した部材は他で使おうとしても
どうしても合わない場合があります
元々使われていた場所だからと言って
再び付けられるとは限らないのです
それは材木の”歪み”が原因です
材木はそのカタチに馴染んでしまっていたのです
それを一度外すことで、元の負担の無いカタチに戻るのです
ずっと引っ張られていたモノが、もともとのカタチに戻る
ですので同じ場所だからと言って、ハマらないことがあるのです
そのため、少し加工するか
また引っ張ってハメるかしないといけません
新しい材料があるならそれを使うコトをオススメします
そして外した場所を覚えておくこと
バラバラにすると、どこの部分だったか
分からなくなりますので、印をつけるなど工夫したいですね!

新たにパーゴラの支柱を立てる部分です
束石(つかいし)を設置してこの上に柱を立てます
パーゴラの重さが支柱にはかかります
沈まないように、束石の下には砕石が15センチ入っています
そしてセメントで束石を固定してあります
地震や振動で束石がズレないようにするためです

他の場所も同様の施工です
作りづらい場所でもキッチリ施工はします
特に基礎は大切な部分です!
束石は柱より少し大きめが良いです
少しズレたとしても、支柱が束石から落ちないためです
今回は9センチ四方の支柱に、15センチ四方の束石を使っています

今回、パーゴラに使う材木は”セランガンバツ”
建築関係の方々はこの材木を良く使います
価格と材木の質の良さがポイントです
耐久性は20年以上と言われ
材木の狂いや曲がり、ねじれが少ないのがイイですね
経年劣化していっても変化しづらい材木です
”セランガンバツ”がいくら加工性が良いといえど
ノコギリでは作業が大変です
もちろんですが機会でカットします
こういった機械類はとても便利です
しかし同時にケガの危険もあります
ベテランになるほど、セッティングをきっちりします
くれぐれも気を配って施工しましょう!
ウッドデッキの支柱のサイズは7センチの角材
パーゴラの支柱のサイズは9センチの角材
つまり!ウッドデッキの支柱周りの材木も加工する必要があります!
そのたった2センチのため
他も加工しないといけないのー!?
そのちょっとが強度の違いを生むのです
それはより大きなモノを作る時にハッキリ結果がでます
パーゴラの場合の注意点は”揺れ”です
支柱は真っ直ぐ立てます、支柱な何本もあります
人がウッドデッキに乗ると、真下に荷重がかかります
一本に強度が無くても、他の支柱で重さを支えることが可能です
しかし地震などで横揺れになった場合!
その全ての支柱、一本づつに耐久性が要求されます
全てが強度あるモノにしておかないといけません
ですので、施工方法もそうですが
支柱の太さも9センチの角材を使うのです
万が一のためですが
それがそこに住まわれる方々の安全のためであり
お子さんのためでもあります

新しく施工した支柱です
すべてがピタっと合っていますね!
これが”職人さんのワザ”と”経験”なのです
職人さんは、その状況に合った
適切な対処が出来るってことです
経験が多ければ、技や対処方法も多いというコトです
それはその職人さんの財産です
それを他の人が学ぶことも出来ます
伝承していくことが大切です
今の建築業界では
新築で作る方が簡単で、技術はいりません
機械で規格通りに加工されたものを組み立てるからです
新築で作ることを出来る職人さんは多いです
しかし意外にリフォームの方が難しい場合が多いのです
見たことがない施工方法で作られているからです
新しい経験をする機会も少なく
覚える必要もないのかもしれませんね
それは洋服や料理など
他のジャンルでも同じでしょうね、きっと
こういった施工で支柱が収まりました
素晴らしい出来栄えです!
家側の支柱は新しく追加する柱です
パーゴラの支柱ですが、途中でウッドデッキに合わせて
支えるように加工します!
ピッタリ!ガッチリ!ガッツリ!
凄い技術ですね、我ながら!

無事、四本の支柱が立ち上がりました!
一日目が終了です
しかし、仕事は早いですね。。
出来るだけ解放感のあるパーゴラにしたいので
天井を高くしたいのですが
写真でお分かりのように、2階のバルコニーがあるのです
バルコニーの床に当たらないよう
しかもバルコニーは水勾配がついています
雨水がたまらないように床全体が斜めになっているのです
色々考慮して支柱の高さを設定していますが
材木のセランガンバツも自然素材ですので
完璧に真っ直ぐでは無いのです
材木は乾燥させているときに曲がりが生まれます
完全に乾燥してから、そのサイズにカットするのですが
それでも少し曲がりや捻じれが発生します
職人さんは、その曲がりや捻じれを確認して
それを計算にいれて施工を行っています
そうしてイメージ通りのモノを作るのです
■2日目 ほぞ作り、横柱
前日に施工した支柱に
同じ9センチの角材で、お互いをつないでいきます
横の柱を付けるわけです

こうしてパーゴラの枠が出来ました
これが骨組みになります
ポイントとして!
支柱に横の柱をくっつけるのではなくて
上に乗っける感じに施工します
落下しづらいですよね!

ご覧の通り、上に乗っける感じです
支柱の上に手前の横柱を乗っけて
さらに奥からの横柱を乗っける
そして全てをビスで一体化させるのです
こうしておけば、万が一の柱の落下を防げます
当然強度もありますし、何より安全性が必要です!
そしてさらに強度を付けるために
横に何本か柱を入れるわけですが
そのための加工を施す必要があります
これを”ほぞ”と言ったり
”掻き込む”って言ったりします
これが精密にガッチリかみ合っていると
強度もとれますし、より良いモノが出来るのです
どうやってこの”掻き込み”を作るのでしょうか?
職人さんの道具の一部です
長年使い込んだモノや、何代目か分からない道具たち
これはほんの一部らしいので
ご自宅に何十本とノミがあるらしいです!
自腹でご用意しているそう。。
支柱の上に乗せる準備ができた横柱
綺麗に加工されていますが
前後2本、同じ位置に”掻き込み”を作らなければなりません
何でも同じだと思いますが
下準備、基礎が大切ですね!
ひとつづつキッチリとして仕事をしていけば
後々何とかなるモノです!

2日目はパーゴラの枠を作りました
中骨の位置に来る、横柱をいれると
強度が格段にあがります
その横柱を加工しながら
他の細かいところ、もともとあった床など
復旧しながら修正、施工を続けます
徐々に完成に向かっている感じがします

もともとあったウッドデッキの階段
支柱を追加して、床板をもとに戻したところ
寸分たがわず綺麗におさまりました
ひとつづつ綺麗に収まるコトで
少しづつ完成に向かっています
見た目や綺麗さって実は二次的な事柄なのです
もっと職人さんが大切にしてるのはこれ
安全性や強度に目的があるのです!
その安全性とか強度を求めると
結果としてキッチリした仕事になるので
綺麗に収まっているのです
■3日目 完成へ
パーゴラづくりも最終日です!
本日で完成させます
前回、躯体、骨組みをつくりましたので
だいぶパーゴラっぽくなっています
本日は強度をつけるための横柱を付けていきます!
前回ノミで掻き込んだ、”ほぞ”にはめ込んでいきますよ
順番にはめ込んでいきます
これはパーゴラ自体の歪みも治っていきます
きれいな直角を描くように施工していきます
かならず必要な骨組みです
強度、歪み、そして植物を誘引するためにも使えますね!
ここに植物が絡んでくるとパーゴラの下が日陰になります

”ほぞ”にハマらない部分も出てきますが
それは実寸で、測って修正してハメていきます
調整は絶対必要な作業です
こんな感じでいっきにパーゴラ感がでてきました!
これで屋根の部分は動かなくなりましたね
最後に支柱と屋根部分の補強を行います
これは建築的に言っても
大切な支えの部分ですので必ずつけた方が強度がつきます!
短いモノでも、斜めの支えをいれると
横揺れにかなり強くなります
あらゆる天候でもパーゴラが倒れることはありません
子供たちがいる場所では付けておいた方が安全です
パーゴラとしては完成です!
しかし今回は”日よけパーゴラ”ですね
最後に”シェードネット”とつけてみましょう!

フックを支柱につけて
ネットを付けてみました!
このネットは太陽光の紫外線を90%カットしてくれます!
年々深刻化していく地球温暖化
皮膚への影響を軽減してくれます

屋根としての効果がありますので
リビングに入り込む、太陽光も遮ります
クーラーなど電気代の節約にもなります

フックでひっかけるだけです
簡単に取り外しが可能です
180センチの私なら、背伸びして外せました!
冬場は必要ありませんので
取り込んで管理します
また初夏になったら付けます
雨など水は透しますので、そのままで問題ありませんが
雪が積もるときは外しましょう!
積もって負担がかかります
まとめ
パーゴラで一番大切なのは”安全性”
頭の上に重い材木があるので注意が必要です
その下をくぐって生活する方々がいるってことです
またつる性の植物を誘引すると
メンテナンスが大変になります
塗装をしていた場合、塗り直しが大変になります
そのパーゴラは何年ぐらい付き合っていきますか?
どんな目的で作りますか?
いろんな条件を考えて材料を選び、つくりましょう!
予算を抑えるなら、今後メンテナンスが必要です
ある程度予算があるなら、管理が少ない材料を選びましょう!
私たち造園会社ぐりんぐりんではそのご家庭にあったパーゴラのデザイン、予算、施工を行っています
それはそこを使う方々、生活、将来性を見越しての提案となります
一緒に世界にひとつだけのパーゴラを作ってみませんか?

次のオススメ記事は!
- ナチュラルガーデンの花壇を何でつくる!?DIYにオススメ自然素材!
- 果実を収穫!子供のための庭の小さな畑の”誘引フェンス”|武蔵野市
- 1日で完成!DIYで簡単!ウッドデッキのステップの作り方|in 葉山