「2000年後の庭は、いったいどんな姿をしているんだろう。」
ぐりんぐりんは今回、日比谷公園ガーデニングショー2026に初めて出展しました。
作品のテーマは『17oct4026』。
4026年10月17日、今からちょうど2000年後のある一日の暮らしを、庭で表現しています。
この記事では、作品に込めた思いや、来場者が実際に乗れるブランコ、白樺を使った理由、美術家・河原温さんへのオマージュ、そして植えた植物までご紹介します。
日比谷公園ガーデニングショーとは
日比谷公園ガーデニングショーは、東京・日比谷公園で毎年秋に開催されているガーデニングの祭典です。
プロのガーデナーや造園会社、一般の方まで、さまざまな作り手の庭やコンテナ、ハンギングバスケットが公園いっぱいに並びます。
コンテストは「ガーデン部門」「ライフスタイルガーデン部門」「コンテナガーデン部門」「ハンギングバスケット部門」の4部門。
ぐりんぐりんは今回、ライフスタイルガーデン部門に初めてエントリーしました。
ライフスタイルガーデン部門のテーマ
今年のライフスタイルガーデン部門のテーマは、「~ここちよいくらしとガーデニング~」。
身近な暮らしに寄り添い、心にやすらぎと豊かさをもたらす新しい世界観。そして、住まう人の幸福度を高め、持続可能な未来へのヒントとなるような提案が求められています。
開催概要
| イベント名 | 第24回日比谷公園ガーデニングショー2026 |
|---|---|
| 会期 | 2026年10月17日(土)〜10月25日(日) |
| 会場 | 都立日比谷公園 芝庭広場・にれのき広場およびその周辺(屋外) |
| 入場料 | 無料 |
| 主催 | 日比谷公園ガーデニングショー実行委員会 |
| 出展部門 | ライフスタイルガーデン部門 |
| 作品テーマ | 『17oct4026』 |
今年のキャッチフレーズは「つなげよう!花と緑とやすらぎを -from HIBIYA-」。イベントの詳細は日比谷公園ガーデニングショー公式サイトでご確認いただけます。
作品テーマ『17oct4026』とは
作品テーマ『17oct4026』は、4026年10月17日という日付を表しています。
ガーデニングショーが開幕した2026年10月17日から、ちょうど2000年後の同じ日。
その日に人々はどんな暮らしをしていて、庭はどんな姿をしているのか。
そんな未来の一日を切り取り、庭として表現しました。
河原温「Today」シリーズへのオマージュ

このテーマは、美術家・河原温(かわら・おん)さんの「Today」シリーズへのオマージュです。
「Today」シリーズとは
「Today」シリーズは、単色の画面にその作品を描いた日の日付だけを描いた作品群です。
河原温さんは1966年からこのシリーズを描き続け、その日のうちに描き終えられなかった作品は破棄していたといいます。
日付という、ただの数字の並び。
けれどその一枚一枚が、「今、この瞬間に生きていること」や、流れていく時間そのものを感じさせてくれます。
日付を2000年後に設定した理由
今回の庭では、その考え方をもとに、日付を約2000年後の未来に設定しました。
庭に立てた作品サインも、黒地に白い文字で日付だけを記したシンプルなデザインにしています。
「Today」が「今日」を刻む作品だとしたら、『17oct4026』は「まだ来ていない今日」を刻む庭。
未来のある一日の暮らしを庭として見てもらうことで、これからの環境や人々の生活に思いを巡らせてほしい。そんな意図を込めています。
2000年後の暮らしを想像した庭

地球温暖化に目を向けて
この庭の出発点にあるのは、地球温暖化への問題意識です。
2000年後、私たちの暮らしはどうなっているのでしょうか。
温暖化がさらに進めば、庭の風景も、そこで育つ植物も、今とは大きく変わっているかもしれません。
今あたりまえに見ている木や草花が、未来には育たなくなっている可能性もあります。
子どもたちの未来を守りたいという願い
それでも、この庭は悲観的な未来を描いたものではありません。
厳しい環境になったとしても、子どもたちの輝かしい未来を守りたい。
そして、どんな時代でも生きることの素晴らしさを知ってほしい。
そんな願いを、庭のすみずみに込めました。
来場者が乗れる参加型のブランコ

この庭のいちばんの特徴は、来場者が実際に乗れるブランコです。
2本の白樺の支柱に横木を渡してロープで結び、木の座面を吊るしたシンプルなつくり。
庭は眺めて楽しむものですが、今回はそこから一歩踏み込みたいと考えました。
ブランコに腰かけ、ゆらゆらと揺れながら庭を見渡す。その時間を通して、2000年後のある一日の暮らしを、自分の体で感じてもらえる仕掛けです。
子どもも大人も、ぜひ実際に乗ってみてください。
見るだけでは分からない、未来の庭の「ここちよさ」がきっと感じられるはずです。
白樺に込めた意味
白樺を「育てる」のではなく「使う」

ブランコの支柱には、白樺を使っています。
白樺は涼しい気候を好む木です。
温暖化が進んだ2000年後の環境では、白樺が育たなくなっている可能性があります。
そこで今回は、白樺を植物として植えるのではなく、暮らしの中の「材料」として活用するという発想を取り入れました。
支柱だけでなく、庭の中には白樺でつくったライトも置いています。
未来の人たちは、かつてこの地に育っていた木を、こんなふうに暮らしの道具として大切に使っているかもしれない。
白樺の白い幹には、そんな未来の物語を重ねています。
倒木や危険木を活用した白樺
今回使用した白樺は、長野県の「白樺クラフト」さんにご協力いただき、入手したものです。
新たに木を切り倒したのではなく、倒木や、危険木の伐採の際に出た白樺をいただいています。
すでに倒れた木や、伐採される運命にあった木を活かすことで、素材そのものの背景にも意味を持たせました。
よく見ると…庭に隠れたストーンアート

庭をじっくり見ていると、砂利や石のあいだに顔が描かれた石が隠れていることに気づくはずです。
このストーンアート、実は「家族」なんです。
2000年後の暮らしの中にも、変わらずそこにいる家族の存在。会場では、ぜひ全員を探してみてください。
乾燥に強い植物たち|植えた植物15種

植栽には、乾燥や暑さに耐えられる植物を選びました。
気温が上がり、雨の降り方も変わっているかもしれない未来の庭。
そこでも力強く育つ植物を想定して選ぶことで、植栽そのものにも作品のコンセプトを反映しています。
ススキやチガヤ、ヨモギ、フジバカマなど、昔から日本の野山で親しまれてきた植物も多く取り入れているのがポイントです。
植えた植物の早見表
| 植物名 | タイプ | 特徴・管理のポイント |
|---|---|---|
| ガイラルディア ’グレープセンセーション’ | 宿根草 | 8月上旬から開花。花後のボール状の姿も楽しめる |
| カリガネソウ | 宿根草 | 日向でも日陰でも育つ。秋に青紫の個性的な花 |
| クジャクアスター | 宿根草 | 9月中旬〜10月上旬に白い小花を次々と咲かせる |
| コスモス ’アプリコット&レモネード’ | 1年草 | アプリコット色のやさしい花色 |
| コスモス ’カップケーキ’ | 1年草 | 9月下旬〜10月上旬に、カップ形の白い花 |
| コマツナギ | 落葉樹 | 8月上旬から開花。こぼれ種で翌年も芽が出る |
| ススキ | グラス | 4月から新芽が伸びる。3年に1度くらい株分け |
| ダンギク | 宿根草 | 3月下旬に新芽、9月中旬から開花 |
| チガヤ | グラス | 春に白い穂。秋に咲くこともある |
| フジバカマ | 宿根草 | 9月に開花。真夏の水切れに注意 |
| ヨモギ | 宿根草 | 日向でも日陰でも育つ。秋に花が咲く |
| ラベンダーセージ | 宿根草 | 春と秋に咲き、夏の暑さにも強い |
| 黒花ヒキオコシ | 宿根草 | 日向でも日陰でも育つ。9月下旬に黒い花 |
| 小豆島イソギク | 多年草 | 一般的なイソギクより華奢な姿 |
| ケイトウ ’霧島の秋’ | 1年草 | 赤い葉脈の葉と淡い黄色の穂 |
ここからは、植えた植物の中からいくつかを写真とともにご紹介します。
ガイラルディア’グレープセンセーション’

日向|宿根草|8月上旬〜開花
ピンクから紫へのグラデーションが美しいガイラルディア。8月上旬から咲き始めます。
ハート形の花びらが散ったあとは、ワインレッドの丸いボール状の姿に。切らずにそのまま残して、シードヘッドとして楽しめるのも魅力です。
咲き終わった花を切り戻せば、シーズン中に3回ほど花を楽しめます。
コスモス’カップケーキ’

日向|1年草|9月下旬〜10月上旬が花期
花びらがつながり、カップのような形に咲く白いコスモスです。花期は9月下旬から10月上旬。
白い砂利の庭にやわらかく映え、未来の庭にやさしい表情を添えてくれます。
クジャクアスター

日向|宿根草|9月中旬〜10月上旬に開花
黄色い花芯の白い小花を、9月中旬から10月上旬にかけて次々と咲かせる宿根草です。
ふんわりと広がる姿が、植栽全体をやわらかくつないでくれます。
ラベンダーセージ

日向|宿根草|春と秋に開花
すらりと伸びた花穂に、青紫の花を咲かせるサルビアの仲間です。
春と秋の2回咲き、夏の暑さにも強いので、庭に縦のラインと深い色を長く加えてくれます。
ケイトウ’霧島の秋’

カラーリーフ|淡い黄色の穂
赤い葉脈が入った葉と、淡い黄色の穂が魅力のケイトウです。
花だけでなく葉の色も楽しめるので、白い砂利の中で印象的なアクセントになります。
小豆島イソギク

日向|多年草|華奢な姿
切れ込みのある葉のふちが白く縁取られた、イソギクの仲間です。
一般的なイソギクよりも華奢な姿で、葉だけでも美しく、庭に明るさを添えてくれます。
コマツナギ

日向・日陰|落葉樹|8月上旬〜開花
日本の野山に自生するマメ科の低木です。日向でも日陰でも育ち、8月上旬から花を咲かせます。
花のあとにできる細長いさやから種が落ちて、翌年また新しい芽が出てくるたくましさも魅力です。
ヨモギ

日向・日陰|宿根草|秋に開花
道ばたや空き地でもよく見かける、身近な野草です。日向でも日陰でも育ち、秋には小さな花を咲かせます。
どんな場所でもたくましく育つヨモギは、厳しい環境になった未来でも、人のそばで生き続けている植物かもしれません。
施工の流れと、いちばん難しかったこと

土台と石積みは事前に組み立てて搬入
会場での作業時間は限られています。
そこで、庭を囲む木の土台や石積みは、事前に組み立ててから会場へ搬入しました。
1日目|白樺のブランコを建てる

1日目は、土台を据えて白樺の支柱を立て、ブランコを建てるところまで進めました。
2日目|植物の配置と土入れ

2日目は、植物を配置して土を入れるところまで完了。
最後に白い砂利を敷き詰め、石を据えて庭が完成しました。
いちばん難しかったのは、ブランコの安全性
制作でいちばん苦労したのは、ブランコを安全に、倒れないように固定することでした。
ブランコは、実際に人が乗るものです。
見た目が美しいだけでは足りず、何人もの来場者が乗っても揺らがない安定性と安全性が欠かせません。
白樺という自然素材を使いながら、デザインと安全性をどう両立させるか。そこに最も時間をかけました。
見て美しいだけでなく、
安心して使える庭を。
普段から人が実際に使う庭をつくっているからこそ、
今回の作品でも、その姿勢を大切にしました。
まとめ
『17oct4026』は、地球温暖化が進んだ2000年後のある一日の暮らしを想像してつくった庭です。
厳しい未来を想像しながらも、そこに込めたのは子どもたちの未来を守りたいという願いと、生きることの素晴らしさ。
白樺の再利用、乾燥に強い植物、そして来場者が乗れるブランコ。素材の一つひとつに、その思いを重ねています。
会期は10月25日まで。日比谷公園にお越しの際は、ぜひブランコに揺られながら、2000年後の庭を体感してみてください 🌿
『17oct4026』のポイント
- ✓ 日比谷公園ガーデニングショー・ライフスタイルガーデン部門に初出展
- ✓ テーマは4026年10月17日、2000年後のある一日の暮らし
- ✓ 河原温さんの「Today」シリーズへのオマージュ
- ✓ 来場者が乗って未来の暮らしを体感できるブランコ
- ✓ 倒木・危険木の白樺を支柱やライトとして再利用
- ✓ 植栽は温暖化を見据えた乾燥や暑さに強い植物
- ✓ デザインだけでなく、人が乗る安全性にもこだわって制作


