アジサイの魅力 ― 雨の季節を彩る花
梅雨の時期になると、街角や庭先でひときわ目を引くのがアジサイです。しとしと降る雨の中でも凛と咲く姿は、どこか心を落ち着かせてくれます。
アジサイの魅力は、花期が長いことと、花の色が変化すること。土壌の性質によって青や紫、ピンクへと色づき、同じ品種でも場所によって違った表情を見せてくれます。
また、雨と相性が良い花であることも、アジサイならでは。雨粒をまとった花びらは瑞々しく、晴れの日とは違った美しさを感じさせます。
静かで控えめ、それでいて印象に残るアジサイ。季節の移ろいを感じながら、足を止めて眺めたくなる花のひとつです。
基本情報
日本原産
日本原産のアジサイは多様で、世界の園芸品種の基になっています。12種2雑種が日本に自生しています。
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ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis)
日本の海岸部に自生。中央に小さな両性花、周囲に装飾花がつく。 -
ヤマアジサイ(Hydrangea serrata)
山地に自生。小ぶりで繊細な花姿。 -
エゾアジサイ
寒冷地向きで北海道にも分布。
※現在一般的な「西洋アジサイ(ホンアジサイ)」は、日本原産種がヨーロッパで改良されたものです。
アジサイの主な系統

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和名:ガクアジサイ(額紫陽花)
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学名:Hydrangea macrophylla f. normalis
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科・属:アジサイ科/アジサイ属
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原産地:日本(本州太平洋岸を中心)
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開花期:6月〜7月
特徴
花の構造
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中央に**小さな両性花(真花)**が集まり、
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周囲を装飾花が額縁(=額)のように取り囲む
→ この姿から「ガクアジサイ」と呼ばれます。
葉・樹姿
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葉は大きく、つやがあり、縁に鋸歯がある
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樹高は1〜2mほどの低木
花色の変化
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酸性土壌:青色系
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中性〜アルカリ性:赤・ピンク系
花色はアントシアニン色素と土中アルミニウムの影響で変化します。
自然分布と生態
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海岸近くや山麓の林縁に自生
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潮風や湿気に比較的強く、日本の梅雨気候に適応

園芸・文化的意義
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**西洋アジサイ(ホンアジサイ)は、
このガクアジサイが19世紀にヨーロッパへ渡り、改良されたもの -
日本原産種でありながら、世界中のアジサイ園芸の基礎になっている
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江戸時代にはすでに観賞用として栽培されていた

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和名:ヤマアジサイ(山紫陽花)
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学名:Hydrangea serrata
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科・属:アジサイ科/アジサイ属
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原産地:日本(本州・四国・九州)
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開花期:6月〜7月
特徴
花の姿
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花序は平らで小ぶり
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中央に両性花、周囲に少数の装飾花
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ガクアジサイよりさらに素朴で野趣に富む
葉・樹姿
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葉は小さく、薄く、鋸歯がはっきり
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樹高は0.5〜1.5mほど
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全体に軽やかで繊細な印象
花色の変化
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土壌のpHで色が変わる点は他のアジサイと同様
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青・紫・淡紅色など、微妙で渋い色合いが多い
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色変化は比較的穏やか
自生環境と性質
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山地の沢沿い、林縁など半日陰で湿り気のある場所
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耐寒性が高く、寒冷地でも育つ
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強い日差しや乾燥は苦手
園芸・文化的価値
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江戸時代から観賞され、改良も行われてきた
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派手さより風情・侘び寂びを重んじる美意識に合う
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近年は山野草として再評価され、人気が高い

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和名:アメリカアジサイ
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学名:Hydrangea arborescens
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科・属:アジサイ科/アジサイ属
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原産地:北アメリカ東部
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開花期:6月〜8月(比較的長い)
特徴
花の姿
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花序は大きく、丸みのある半球形〜球形
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装飾花が多く、見た目が非常に華やか
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咲き始めは緑色、次第に白くなり、秋には再び緑がかることもある
葉・樹姿
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葉は大きく、やや薄い
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樹高は1〜1.5mほど
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落葉低木で、冬に地上部が整理される
花色の変化
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基本的に白花
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日本のアジサイのような土壌pHによる色変化はほとんどない
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近年は淡いピンクになる品種もある
自生環境と性質
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新枝咲き
→ その年に伸びた枝に花をつける
→ 強剪定が可能で、管理しやすい -
耐寒性が非常に高く、寒冷地向き
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病害虫にも比較的強い
園芸・文化的価値
代表的な品種
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‘アナベル(Annabelle)’
最も有名。大輪の白花 -
‘ピンク・アナベル’
アナベルの改良品種で淡紅色 -
‘インクレディボール’
茎が太く、倒れにくい改良型
植える場所

実は、日向が好き
日影に植えられているイメージのあるアジサイ。ですが、日光が大好き!ガクアジサイは海岸近くや崖に自生しています。実際、他に日陰に強い植物が少ないこともあり、アジサイが選択されて植えられることも多いです。
ほとんど日が当たらない場所だと、花つきが悪くなったり、花色も悪くなります。そのため、半日陰~日向に植えましょう。移植や鉢の植え替えは、11月下旬~2月の休眠期に行います。鉢は2年に1回の入れ替えが理想です。
剪定方法
ガクアジサイとヤマアジサイ共通の剪定

基本的に花後、9月までに2~3節下の葉っぱの上で切ります。花と茎の脇芽から、花芽が出ていれば、来年にその芽から枝葉が伸びて花が咲きます。花後になるべく早く切ると、花付きが良くなります。
今年咲かなかった枝は、そのまま残せば来年花を咲かせます。また、大木になってしまいコンパクトにしたいときには、株元近くの節の上でガッツリ切ります。株元まで切った次の年に、ほとんど花は咲きません。再来年(切ってから2年後)に花が付くので2年計画で考えましょう。
また、株立ちのアジサイの枝を少なくしたいときは、地際で貧弱な枝から切り、重なり合っている枝を株元から切りましょう。
アメリカアジサイの剪定

アメリカアジサイは、その年の新芽に花が付くので、7月の花後~来年の3月までに地際で剪定。花後すぐは、新芽が出てきていないので、最初は不安になるかもしれません。そんなときは、秋には地面から近い枝に新しい芽がポツポツと見え始めます。
その芽を、ポイントとして芽より少し上の枝を全て剪定してあげましょう。1年で1~1.5mくらい伸びるので、お庭や花壇でどのくらいの高さまで伸ばしたいかで、逆算して剪定すると理想の高さになります。
水やりについて

2025年は、梅雨時期がほとんどなく夏場も猛暑で水不足でした。そのため、何年も植わっていた木々や下草が枯れてしまう被害が良くありました。
アジサイは、お水が大好きです。なので、水が不足すると葉が垂れ下がってしまったり、黄色い葉になってしまうケースが良くあります。40度近い日が続くときには、地植えの場合も朝たっぷりお水をあげる。鉢植えの場合は、朝と夕方の2回あげましょう。
また、今年植えたばかりのアジサイや、花付きのアジサイを植えた場合は、まだ根っこが張っていないので、春、秋は3日に1回は水やり。乾燥する場所や西日が当たる場所は土の乾燥具合で2日に1回。夏は、ほぼ毎日。冬は、3~5日に1回与えましょう。
真夏は、地表面から水が蒸発しやすいので、バークや腐葉土など株周りに撒くのがオススメです。
肥料について
基本的に、アジサイは肥料は必要ありません。理想は、アジサイに関わらず植える1カ月前に堆肥を鋤き込み植えるのが理想です。それ以降は、年1で冬に、堆肥を撒くだけですみます。
春先に購入した、花付きのアジサイはそのままにしておかずに、植え替えしょう。そのままにしておくと、来年花数が減るか花が咲かないことがあります。
まとめ

お客さんのお庭づくりで、植栽をさせていただくときに「何か入れたい植物はありますか」とお伺いします。すると、アジサイと答える方、特に女性が多くいます。最近では、母の日のプレゼンとしてアジサイが選ばれます。
日本の気候にも合いますし花期も1ヶ月くらいあるので、オススメの花木です。鉢植えから地植え、寄せ植えとしても万能です。
アジサイには、たくさんの品種があります。清楚なお庭、雑木のお庭には、ヤマアジサイがオススメです。特に、色がだんだんと移り変わっていくもの派手過ぎず時間の流れを感じさせてくれます。
白花~赤花に移り変わるクレナイや赤紫から目の醒めるような藍色に変わる藍姫がオススメです。
洋風なお庭であれば、アメリカアジサイのアナベルが大人気です。また、ヤマアジサイであれば、伊予白の華やかな白いアジサイや、テマリ咲の九重の花吹雪など、華やかな色のモノや、花の形がゴージャスなものも目を引くポイントです。
写真のヤマアジサイは、お客さんが購入して植えたものです。派手さはありませんが、地面から30㎝くらいのところで、咲いています。夏葉の緑と寄り添い風情がありますね。






