大人数で楽しめる絶賛空間!自然石と宿根草のある、長野の庭づくり

長野県のとある地域では、移住者の募集が盛んにおこなわれてるそうです。その影響も含めて、お子さんがこの地の学校に就学されてるご家族、東京から移住が実現するタイミングでお庭づくりの声を掛けていただきました。私、ぐりんぐりん横田も長野のご縁が深まっており、月2~3回は長野入りしていた時期でした。

 

東京からの移住ということで、初めて打ち合わさせて頂いた場所は東京都です。その際のご希望は”…何もない”、”素敵なお庭を”、とおっしゃられ、どこから手を付けて良いのか分からないような様子でした。私はプロのガーデンデザイナーであると同時に、皆さんの奥深くに眠っている、本当の欲求を拾い出すことを得意としています。それが”ヒアリング”なのです。その結果、『大勢でBBQをやったり遊んだり』『植物は分からないし管理は出来ないけど、お花がいっぱいのカフェのようなお庭』『お庭の広さや長野の風景を大切に』という3つの方向性を決めることが出来ました。もちろんもっと詳細はあるんです、その小さな欲求を重ね合わせて、300平米のガーデンデザインを確立していきました。その答えが”ファイヤーピット、ナチュラリスティックガーデン”なのです。

 

工期は建築の後半と共にスケジュールされ、一カ月半、90日間工事を毎日行いました。このお庭は過密なスケジュールだったため、ほとんどを自分たちで施工を行い完成させました。もちろん多くの仲間やお客さんや職人さん、地域の方、資材を提供してくださった会社さま、多くの方々に助けられ完成した特別なお庭です。完成したその姿は訪れる皆さんを歓喜させ、驚きと感動に包むことが出来たと思います。それは何よりお施主様の”子供たちのために”という確かな思いに支えられていたと感じます。

 

自然石は地産地消として全て長野産、それはこの地でお庭づくりを行い、この地になじんで欲しいという私の思い、その中でも時間と共に色や雰囲気がゆっくり変化していく、魔法のような自然石を使っております。植物や植栽のスタイルは”ナチュラリスティックガーデン” 宿根草や球根をふんだんに植え込み、春の訪れと夏の深緑、一年中咲きほこる数々の花たち、秋には紅葉、冬にはシードヘッドが楽しめる、これからの時代を感じさせる日本の四季にマッチした植栽スタイルなのです。長野の風景と溶け込み、お住まいになった分だけ植物も年々、そのサイズやボリュームを増していく特別な植物たち。それは観察するごとに新しい発見と驚きがある、私たちオススメの植栽です。

 

東京からの移住は、大きな決断と旅であり、時間とともに溶け合っていく人生と暮らし。それと呼応するようにお庭の自然石と植物は年々変化を続け、この地になじんでいく時間経過を楽しむお庭。大勢の友達と走り回って遊び、BBQを楽しむ黄金時代の子供の時間。それから大人へと成長し、それと共にお庭は大人の空間へと成長していく。私たちが皆さまへご提案する、”心豊かな暮らしがある庭づくり”の最高の実例のひとつとなりました。

 

◆DESIGN:株式会社ぐりんぐりん
◆WORK:株式会社ぐりんぐりん
◆PERIOD:1か月半
◆BUDGET:1,500万円

ファイヤーピットを中心とした大勢で一緒に楽しめる月をイメージしたお庭づくり

私たちのお庭づくりは、いつも念入りな”ヒアリング”から始まります。色んなお客様がいらっしゃるなか、今回のお施主様はお庭のイメージをまったくお持ちではありませんでした。それでも私は”ヒアリング”を行うのです。人の願望とか欲求とか、好きなモノとか感情的なモノは、本当に大切な部分はいつも心の奥底に隠れているモノです。それを拾い上げる、それが”ヒアリング”です。

東京から長野への移住に際して、新築住宅を建設されるということで、『保坂猛建築都市設計事務所』の代表の方よりご連絡を頂いたのは、日差しが一年でもっとも厳しい8月上旬でした。とても困難な建築も終盤に差し掛かり、やっとお庭のことが打ち合わ出来る状態になったとのこと。思い起こせば一年前ぐらいからたまに『長野でお庭つくれます?』と聞かれていた案件でした。

急遽、お施主様と打ち合わせ、繰り返しの”ヒアリング”を行わせて頂き、すぐ現場調査へ。急ピッチでプラン作り、予算調整を行いました。規模の割にこんなに早く着工できるんだと言う感じで9月中旬施工がスタートしました。

お庭の完成は建築が一旦の終了を迎えた一週間後、10月31日のことでした。半袖でスタートした工事も終盤には落葉樹の葉っぱも落ちはじめ、一枚羽織ってないと肌寒い気温になっていました。昨今は春秋が短く、夏は猛暑と長い期間暑い日が続く天候になったと思います。この”長野”でも同じで標高が高いせいか、冬の訪れが早いな…と感じさせる頃、お庭は完工しました。

ムーンガーデンと言うテーマの建築物とそのお庭

『ファイヤーピット』です。これを個人のお庭に作ったのは初めてです。建築屋さんの設計プランでは今回の建築を『ムーンガーデン』と名付けれておられました。”月の庭”という意味ですが、まさに三日月型の敷地で、建物も三日月のような形をしているのです。『保坂猛建築都市設計事務所』さんの建築は、いつもしっかりテーマが決まっており明瞭。建築を立てられる設計士さんのテーマに導かれるように、私はここに”満月”を設置したのです。

ムーンガーデンという名前の建築プランにあやかって大勢で遊べる満月のようなファイヤーピットを設置

直径6mあるこのファイヤーピットは大人なら20名、子供たちなら30名が座れることを想定して設計しました。この円のどこでも腰を掛けられ座りやすいような高さに施工。アウトドアやイベント感を満喫できるように、感情的に気持ちが昂る、非日常を味わえるような空間にしました。

長野県の地元の石材と黒御影の石材を使ったファイヤーピット

石積みと床の乱張りには地元の”信州鉄平石”を選び、天端の黒い色の綺麗な石材は”御影石の黒”を選択。石積みを自然石の凹凸を強調するように積み上げ、ラフで強いテイストになりそうですが、それを御影のシンプルな高級感溢れる石肌がそれを上手くコントロールしている、とてもシックでモダンな仕上がりになりました。

直径100センチのアイアンBBQ台とその周りを囲む大き目の砂利スコティッシュコブル

直径100センチのアイアン製BBQ台を設置、周りにはイギリス産のスコティッシュコブルを置きました。石積みと砂利はラフに、天端とBBQ台はシャープな感じにすることで、野生過ぎず、どこか都会性を感じさせるデザインこそ、私たちぐりんぐりんの真骨頂と言えると思います。自然素材は使い様によってはナチュラル過ぎる場合がありますが、どこか都会さを感じさせることで”時間に奥行き”を持たせることになるのです。時間の奥行きとは”どの時代的”という意味付けではなく、その場所を使う皆さんの色に染まりやすい”余白”があるのです。

多くの建築と違って”お庭は完成した時がスタート”です。完成が幕開けでそこを使う皆さんのストーリーが始まります。子供たちが遊んだり、青春を語り合ったりする黄金時代。家族で果実や実成りなど自然との共生を実感する調和の時代。人生の後半では色んな経験を経てたどり着く余韻を自然と感じる成熟時代。庭は人生と暮らしに密着しているのが、一番その存在意義を全うしていると思います。

意外と知られていない寒冷地で育つオーストラリアの樹木ユーカリグニー

ユーカリグニーです、原産地はオーストラリアですがマイナス20℃まで下がる長野でも育ちます。これは意外と知られていませんね。樹木は他にも白樺、アオダモ、スモークツリー、ブルーベリー、オリーブ、ロシアンオリーブなどを植えさせていただきました。初めから大きな樹木を植えるのも良いですが、お庭や子供たちの成長に合わせて樹木が伸びていくのも、何とも感慨深いものです。

下草に宿根草と球根、グラスをメインとして植栽した長野の庭づくり

下草には球根と宿根草、グラスをメインとして植栽しました。日本には四季があり、こういったスタイルの植栽は一番、四季を楽しむことが出来る可能性に溢れています。春には生命の芽吹きと花を、夏には新緑と風を、秋には紅葉と落葉を、そして冬にはシードヘッドを満喫する。これは季節の移ろいがあるから楽しめる自然の変化です。特に長野で育つ常緑は少ない、落葉こそ長野で植物を楽しむオススメの選択と言えるでしょう。

茶系の景石(自然石)も長野の山から採れたものを使っています。表面の茶色は空気に触れて酸化しているのです。この地の5つの山に登ってそれぞれで採れる自然石の特性は違います。今回は一番酸化しやすい石を選びました。これも数年経つと、全部の石が茶色に変化していくのです。よりお庭になじみ、定着してくようすが楽しみになるのです。

広い敷地の芝生の管理を楽にするためTM9の芝生を選択

芝生はTM9を選択しました。約230平米分の芝生があります。ゆえに管理をやりやすく楽にするための選択です。よく見かける日本の芝生は高麗芝、または野芝という品種です。これらはとにかく芝が伸びます。つど芝刈りが必要になってきますので状況によってはとても管理が負担になるでしょう。そこで高麗芝の改良版として”TM9”が作られたのです。より管理が楽に、より美しい緑に、より密に生えるように、より虫に強く。

高麗芝ですと例えば年間15回の芝刈りが必要だとします、TM9だと3回でOKと言うワケです。忙しい皆さんの負担がグッと減りますよね。ましてはこれだけ広い敷地ですと、芝を刈るだけでもかなり大変だと思われます。自動芝刈りの機械を導入するかの検討もありましたが、それもピンキリなのです。そこでまずはTM9を導入して芝刈りの回数を減らす選択にしました。

素材やデザインというのは、そこを使うご家族や皆さん、個々にカスタマイズされるものです。まったく他と同じということはありません。似てるようでどこか皆さんそれぞれのご家族に合わせて、デザインされるものです。そのために皆さんご家族のことを知る、つまり”ヒアリング”を私たちは一番大切にしてるのです。

長野の庭づくりのエントランスの樹木と植物

エントランス付近の様子です。まだ植物が育ってませんのでその雰囲気は伝わりませんが、次の春を迎え初夏を過ぎた時に、はじめてその全貌が見えてくると思います。このあたりも私たちが見てるのは2~3年後、さらに10年、15年後を見据えてデザインしています。その先は皆さんの”生活スタイル”が変化する可能性も高い、子供たちは巣立っていき、日々の暮らしの目的が変わる。時間や興味も変わっていくことと思います。そうなったらこのお庭も、少しを手を加えて第二ステージへと進化させていくのです。

急遽施工が決まったこの長野の庭づくりには、多くの方々のご協力を得て完成いたしました。まずは建築を担当されお声を掛けてくださった『保坂猛建築都市設計事務所』の皆様、施工に参加してくださった職人の仲間と先輩方、地元建築会社の皆様、地元で素材提供にご尽力してくださった業者の皆様、普段から私たちがお世話になっている業者の皆様、そして何より大きなご決断と長期の工事を許可してくださったお施主様、皆様にこの場を貸して感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 

株式会社ぐりんぐりん
代表取締役 横田拓伸