もくじ
明日から出来る!池坊の基本”水仙のいけばな”の生け方をご説明!
前回”池坊の伝花”についてちょっと触れました
しかし!水仙のいけばなは簡単には出来ない!のです
なぜ?
それは水仙をそのまま使わないからなんです!
簡単にいいますといけばなで欲しいのは
”理想のバランスの水仙”
水仙の株を一度解体!再度組み立てるのです!
今回はその”水仙のいけばな”を解説
画像でご説明します!
あれ?
自然の姿そのまま使うのでは?
と思いの方もいらっしゃいますが
自然のままとは野性ってことです
野生はすべて美しい!それでもすべてが完璧なワケじゃない
池坊では『理想的な自然美』を追求していますワケです
完璧なバランスの花って現代の花屋さんとかにはあるでしょうね
それは完璧になるよう人工的にコントロールしてるからです!
しかもそれは野性ではなく、人工的美意識で、です
まっすぐなキュウリ、大きなカボチャ、同じ太さの大根とか
現代の野菜事情は皆さんの”ウケ”がいいように
最高の姿にコントロールされています
それはお花も同じです!
水仙にしてもより花が大きく、背が高く、真っ直ぐに
育てられています!
■水仙の観察
野生は個性の固まりです!
曲がった茎、日の当たり方で変化する葉っぱの姿など
それは色んな環境で色んな姿になるのです
しかし!
その中で自然の法則というのが存在します
水仙の一年目は葉っぱが一枚
二年目になって葉っぱが三枚
三年目になって葉っぱが四枚になって開花する!
それが自然の摂理!
そして葉っぱの背の順も決まっています!
- 一枚目の葉っぱは北側の外
- 二枚目は南側の外
- 三枚目は北側の内側
- 四枚目は南側の内
その順番で葉っぱが成長してきて
その順番で長さが決まっているんです!
その摂理を学び、それを活かし
その中で最適なバランスを池坊では決められているのです
”バランス”ですので何センチ?とかではなく”率”なのです
3:7とか4:6とかのバランスです
それは水仙がいつも同じ大きさではないからですね!
では実際に自然素材の水仙を
解体!最高のバランスで再び組み立ててみましょう!
■水仙を解体する!
まずはどんな水仙を選ぶのか?
先ほど説明しましたが
現代の水仙はより大きな、数の多い花を咲かせようと
栄養を限りなくあげています!
本来水仙は40~50センチぐらいの背の高さなのです!
ですので出来るだけ細く、小型の水仙を選びます
美しい姿にするのは根っこに近い部分をカットしますので
最低でも50センチ以上あった方が扱いやすいです!
水仙の根元です!
水仙は半円の葉っぱが向かい合っています
ネギみたいに円の筒状になっているわけではないのです!
そのスジが画像でみえますね?
半円が組み合わさって円になっているので
両側にスジができます
それを上に向けて安定したところに置いてください!

手のひらで白い部分、白根(しらね)をグっと押し付け
”グシュ”っていう音が出るまで押します!
白根を圧し潰す感じで!
もし!
この後、水仙を解体していきますが
上手く引っ張り出せなかった場合は
これを繰り返してくださいね!
白根をもっと動かないように固定しながら
まずは茎を引っ張ります!
茎はなるべく根元に近い部分を握る
あまり白根をギュっと握っていると
茎が出ていかないので注意です!
茎が全く動かない場合は
また白根を圧し潰してみてくださいね!
綺麗に引っ張り出せました!
折らないように!
潰さないように!
続きまして葉っぱを解体します!
茎が抜けたあとはサクサク引っ張り出せます
しかし!
一番内側からはずしてください!
そしてもともとあった順番に並べておいてください
なぜならその順番に組み立てていきますので
分からないようになったら大変ですよ!
こうして解体は終了です!
とにかく白根を潰して、茎を引っ張るところが
ちょっとドキドキしますが、慣れればすぐに出来るようになりますよ!
慌てずにやってみてください!
・白根の管理

白根は乾燥しやすいです、薄皮な感じなんですよ
ですので水につけて管理します!
使うまでは水につけておいてください!
■水仙の組み立て ~理想的なバランスで~
水仙を理想的な姿、バランスに組み立てます
それは花の大きさやその茎の太さなどで、全体のサイズも考えます
株同士の大きさも考えましょう!
その時の花材で実際に生ける前に、完成をイメージすることが大切です
モノづくりは”準備8割、作業2割”ともいいます
・水仙の花を観察
水仙の花が3輪以上ついているのは
”花、真っ盛り!”ってことです
いけばなでは”花のガク”が表です
ガクがついている方を手前(自分側)にして考えます
ちなみに花は立っている状態で仕上げます!
水仙の花は普段ダラーンと垂れ下がっていますが
立っている状態の高さで
葉っぱとのバランスを考えますよ!

裏側はこんな感じです
・そして白根の準備をしましょう!
白根です、ぬいたそのままの白根です
茎と葉っぱを組み合わせたら、この白根の中に戻します!
ですので先に完成時の長さにカットしておきます!
基準としては5センチです
真っ直ぐ、平行にカットします
カットした部分が下ですからね
爪みたく尖っていますが
尖った方が正面(自分側)です!
・組み立てていきましょう!
順番に並べてあった葉っぱの
一番内側から組み立てていきます!
花のガクを手前(自分側)にして、葉っぱを茎にあてがいます!
葉っぱを解体した順番に組み立てていくのです
互い違いに!
四枚の葉っぱを組み立てたところです!
そのときの長さのバランスが重要なのです!
おおよその長さの部分を押さえとく
水仙の長さは全長45~50センチぐらいが基準と考えます!
そのバランスとは!?
数字は葉っぱの組み立て順番です!
そして花の位置は①と②の間
次の葉っぱ自体のバランスと一緒に考えてください!
葉っぱのバランスです!
葉っぱの太さや全体の大きさも考慮しますので
何割か?で考えます
葉っぱのバランスの間に
花が入ってきます!
茎の長さはもし50センチでと考えるなら
プラス2~3センチ長めでカットします!
それはあとで長さ調整をするためです
そのカットの仕方は?
斜めにカットします!
それはこの茎と葉っぱの束を白根に入れて
もとの状態に戻すために、尖がらせておくのです!
でもその向きが大切ですよ!
水仙の葉っぱが組み合った”端っこ”が尖がるようにします!
葉っぱが横向きになるような状態です
このような状態になっているのが正解です!
葉っぱの組み合っているところが、カットした先端です!
この尖った部分から白根を入れていきます!
尖った同士を差し込んできます!
白根を水で濡らしながら、クキクキ回転させながら
白根が破れやすいので気を付けて!
慌てず、急がず、濡らして!
危ない!って思ったら引き返してください
茎を長めにカットしてますからね
その分、白根を奥の方まで差し込みます!
少しでも引っかかったら引き返してくださいね
完成時の長さのところまで白根を持っていきます!
これが組み立て完成時の様子です!
白根の爪がガクと同じ向きであることが重要です
葉っぱの向きにも注意してください
そして茎の斜めの部分をカットして完成です
白根から見えてる茎は1センチ残してカットしてください!
その茎の部分を剣山に差します
白根を剣山に差してしまうと切れちゃうので、十分注意して!
2株生けの場合、これを二つ作ります
3株生けは三つ作るってことです
それぞれの役割があるので、それを考えて組み立てます
葉っぱは千鳥(ちどり)左右順番の高さにしますが
場合によっては葉っぱを背の順にします
それがこちらです!
違いは全体の長さ、それぞれの葉っぱのバランス、花の位置など
細かい違いがあります
それは池坊の生花(しょうか)の”真、副、体”の役割の違いです!
水仙一株で細かく意味がありますが
3株全体で一つの意味を成すのです!
ちょっと花が傷んでカットしていますが。。
『伝花 3株の水仙の生花』
いつでも精進!
水仙は私の好きな生花であり
いつも学びの基準でもあります
伝花としての水仙の生花のいけかたは
次回、ご紹介します!
それは池坊の大切な教えでありますので
続きはぜひ”池坊の教室で体験してみてください”
私がこの先、自信をもっていけることができるようになったら
ぜひこのブログでご紹介したいと思っております!
■第82回池坊目黒教室!3株生け、水仙の生花!
水仙は自然の中の陰の花であり、冬の花の代表のひとつです!
本来は剣山を使わず、”くばり”という
樹木の枝を固定するのです
今、この生け方や水仙のご紹介は
いけばなの入り口です!
そして何より水仙の香りが素晴らしいコト!
そんな植物を相手に仕事ができることが
幸せなのかもしれませんね!
■まとめ
水仙の生花は池坊の基本であり
いけばなの基準であり
お庭づくりの基礎であると思っております!
これからまた何年も、繰り返し学ぶことになります
それが私の成長であり、庭づくりの成長であるとも思っております!
また来年が楽しみですね!
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