■はじめに
一年ぶりの池坊、目黒教室での生け花の報告です!
ちょっと仕事が忙しすぎて、なかなか記事に出来ませんでした。
御年…70代の先生によく言われることがあります。
”悪くないわ。こじんまりと収まってるわよ。”って
つまりもっとはじけなさいって事。
池坊において”はじける”ってことは
突拍子もないコトの意味ではないのです。
粗密、高低、アシンメトリーなど相反することを意味してます。
その違いが広ければ広いほど”はじけてる”ってことなのです。
そして先生の花を見ていて凄いなって思うのは
常に”収まりの良い枝、使いやすい花”を使っているのではない。
ちょっと変形した”面白い枝葉”を探しているってことです。
それが見つかると、いつも楽しそうに生けられます!
私の先生の凄さは
”理数的な正確さ、こだわりの詳細、そして面白さを追求するチャレンジ精神”なのです!
それが池坊を極めるってことに繋がっているのです!
■テーマ:センターピース

センターピースとは、真ん中の部分!的な意味ですが
食卓やテーブル、花台に置かれた360度どこからでも見られる場所ってコトです。
そこに置かれた生け花も同様、360度どこから見ても美しく生けられた花のコトです!

池坊では茶室の”床の間”に飾られることを想定して
花生けを行っています。
”花展”でも写真のように壁を背にしています。
ですので多くは正面から見られるコトをイメージしています。
そこで”センターピース”とは360度どこからでも見られるようにですので
多面的に考えることが要求されるのですね!
■花材

”トルコキキョウ”
キキョウだけどキキョウの仲間ではない。原産地もトルコじゃない。
一年草で一重、八重、フリンジ、複色と色やカタチもいっぱい豊富にあるのがトルコキキョウです!
池坊では夏の青色の花として、ベルテッセンと同様によく使われます。

”ナデシコ”
秋の七草のひとつであるナデシコ。300種類以上存在してカーネーションも同じ仲間です!
池坊ではメジャーな花材として複数で良く使われます。
でもなかなか主役としての存在では考えられないですね。

”レースフワラー”
一年草で今では自生しつつある人気の花材。
切り花は通年にわたって手に入るので、花材としては重宝されています!
合間や隙間を埋めるのに、ワンポイントとして、枝の代わりとして。

”キンシバイ”
傷をいやすオトギリソウとして知られる1mぐらいの低木です。
初夏から夏の時期に濃い緑の葉っぱと黄色の大きなつぼみと花が素敵ですね!
池坊ではこの時期の主役に、枝モノとしてよく使われますよ!

”ブルーベリー”
今が季節の果実の代表格でもあります。
庭木としても人気があるブルーベリーです!
新緑の葉っぱと小さめの果実が豊潤な雰囲気を演出してくれます。
■私、ぐりんぐりん横田のいけばな

・正面
キンシバイで骨格を演出して
真ん中にレースフラワーを低く置いて、真ん中が透けないようにしました。
トルコキキョウは高さに違いを持たせ、合間はナデシコで埋めました。

・裏面
反対側からもレースフラワー、トルコキキョウを隠れない位置を選びました。
差し口(剣山に差してある茎の部分)が見えないようにブルーベリーの葉っぱで押さえました。
果実もついているので、とても季節を感じますよね!


・サイド
横から見える場所もキッチリとケアします!
差し口も中心に近いところでまとめます(剣山の使い方にも当然ながら良し悪しがありまして、どこにでも差せばいいのではなく、中心にまとめて差すのを良しとされます)
キンシバイが高めの方は、下にブルーベリーの枝で高低をもたせました。
■評価!!
1. 『うん!悪くないわ。いつもあなたの花は、小さくまとまってるわね~』
2. 『こじんまりとしてるのよ』
3. 『つまらないじゃない』
4. 『ブーケや花盛りじゃないのよ、粗密なのよ、出すところ出しなさいよ』
5. 『差し口をそろえるならキチッと揃えなさい』
…
27. 『面白い枝があるじゃない、これを使わない手はないわよ』
…
52. 『分かる?この花器場合、大きさに対してもっと大きく生けていいのよ』
53. 『これでまぁまぁ良くなったわね』
と言うわけでお直しをいただきました!
先生様のお手を煩わせて申し訳ありません。
ありがとうございます。
■先生の花

・正面
完璧です。
枝が大きく出ています、逆はあまり飛び出ることなく、それよりもキンシバイの枝を見せるようになっています。
他の葉っぱと重なる差し口に近い部分は、葉っぱをとってもたつかないようにしています。
ブルーベリーの果実だけの枝も据え
トルコキキョウは思いっきり高低をつくっています。

・裏側
完璧です。
トルコキキョウは裏での楽しめるように正面に据えます。ずっと位置を探っていました。
私が生けた時間と先生が生けた時間では、やっぱり先生の方が長い時間をかけておられます。
とくに果実は大切に場所を探されていました。
差し口が綺麗です。


・サイド
完璧です。
キンシバイの枝が前後に振ってあるのが良くお分かりかと思います。
正面では枝の角度や長さばかり目立ちますが、横から見ると前後の思いっきり振っているのが良く分かりますね!
レースフラワーの小さい花、ナデシコは隙間にキッチリ入っています。
■まとめ
私の花葉っぱや枝が多くもったりした印象ですね。
先生の花は粗密はハッキリしています。
枝数や葉っぱの数は少ないのです、高低もしっかり設定します。
ですので葉っぱ同士が重なることもなく、花自体は大きいサイズながらスッキリして
逆にまとまっていますね!
先生の花を見るとやっぱり納得なんですよね。
百聞は一見に如かずのようですが、枝葉の場所がハッキリしている印象です。
何となく置いた枝葉が無いってコトです。
すべてに意味があるように思われます。
それも先生は説明しながら実践してくださるので分かりやすいですね。
しかし、すぐには上手くならないモノです。
毎度ながら精進あるのみですね!
私たち”造園会社ぐりんぐりん”では常に学ぶことを続けています!
それは現状に満足することなくチャレンジすることでもあるのです。
その新しい試みは”目の前のお客様へ”そして“次のお客様へ”
よりよいお庭づくりを提供することに繋がっていきます!
ぜひ、お庭に関することはお気軽にお問い合わせください!